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女性泌尿器科百科(14)さようなら尿失禁ー切迫性尿失禁ー

切迫性尿失禁
例2 Bさん67歳女性の場合
妊娠2回、普通分娩2回、大きな病気にかかったことはありません。
3、4年前から排尿回数が増え、尿意を催すと待ったなしで、トイレまで間に合わずもれるようになりました。
排尿日誌をつけてみると、排尿回数は12−15回で一回の尿量は100ml以下のことが多い。夜間は1−3回で一回の尿量は150−200mlでした。
次第に、水に触れたり、水の音を聞いただけでももれるようになったため、私の外来を受診されました。

切迫性尿失禁の症状
我慢することが難しい強い尿意のことを尿意切迫感と言います。尿意切迫感を症状とする病気に過活動膀胱があり、別項で述べますが、この尿意切迫感があり尿がもれてしまうのが切迫性尿失禁です。頻尿(トイレに行く回数が日中8回以上、夜間2回以上)を伴うことが多く、水の音を聞いたり、水に触れたりしたときにもれることもあります。

切迫性尿失禁の原因
切迫性尿失禁には排尿筋過活動(膀胱が勝手に収縮する)などが原因とされる過活動膀胱など運動性のタイプと膀胱が感じすぎることが原因とされる感覚性のタイプに分けられます。
運動性のタイプはさらに大きく分けて脳や脊髄の神経経路に障害がある神経原性のものと神経に障害のない非神経原性の不安定膀胱タイプに分けられます。
感覚性のタイプは膀胱の知覚が過敏になり(尿意亢進)、思わずもらしてしまうものです。過知覚膀胱とでも呼ぶべきもので、膀胱炎が代表的なものですが、尿が貯まると下腹部が痛む間質性膀胱炎などによる尿失禁も、このグループに入ります。
原因が多岐にわたり、原因の特定が困難なことも切迫性尿失禁の特徴です。

切迫性尿失禁の治療
切迫性尿失禁の治療は腹圧性尿失禁のように簡単な手術でスパッと治るものではなく、薬物療法が中心となります。
抗コリン薬の服用で多くの場合効果が見られますが、無効である場合もあり、治療に難渋することがあります。
切迫性尿失禁の強い尿意(尿意切迫感)は腹圧性尿失禁以上にQOLの低下を招き、生活に影響を与えるようです。

Bさんは検査の結果、神経に原因のない、不安定膀胱タイプと診断され、抗コリン薬を処方されました。幸い投薬により尿失禁が消失しましたが、薬から離脱できるように、膀胱訓練(尿を我慢する練習)と骨盤底筋体操を心がけて毎日行うようにしています。

Posted by 2011/06/09

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