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女性泌尿器科百科連載再開 女性泌尿器科百科(15)さようなら尿もれ、尿失禁4 その他の尿失禁

女性泌尿器科百科連載、再開しました。

混合型尿失禁
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の要素を持つ尿失禁を混合型尿失禁と言います。更年期以後に発症する尿失禁にこのタイプが多いようです。どちらの要素が強いかで治療法が異なりますが抗コリン薬で尿失禁が消失することも少なくありません。

反射性尿失禁
外傷による骨髄損傷や、脊髄の変性疾患、腫瘍などの病気が原因でおこります。「おしっこがしたい」という尿意がないままにかなり大量の尿がもれてしまいます。尿が十分貯まる前に、膀胱が勝手に収縮してもれてしまう、しかも残尿があるのが特徴です。

溢流性尿失禁
膀胱に貯まった尿が溢れ出てしまうタイプの尿失禁で高齢者に多く見られます。子宮がんや卵巣がん、直腸がんなどで骨盤内の大きな手術を経験された方に多く見られるタイプです。頻尿であることが多いので切迫性尿失禁と良く似た症状を示しますが、いつも膀胱に尿が残っていて、尿がチョロチョロとしか出ないのが特徴です。
原因は膀胱の収縮力が弱くなったりして、膀胱にいつも尿が多量に貯まっていて、それ以上の尿が流入した時に、溢れてもれるのです。
子宮がんや直腸がんの手術の際に排尿に関わる神経が損傷されて、手術後に尿が出にくくなり、尿が大量に残るようになり、その結果であったり、尿道や外尿道口が狭くて、膀胱が尿を押し出しきれずに残尿が増えて起こったりもします。
治療はまず、残尿の原因となっている病気を治療することです。尿道など排出路が狭い場合には、手術などでその通り道を拡げる治療を行ったり、薬で広がりやすくしたりします。
排尿に関する神経の損傷が原因である場合には、損傷されている神経の種類と箇所をウロダイナミックス検査(後述)により推定し、薬を投与したり、尿道からカテーテルで残尿を取り除くこと(間歇自己導尿など)により治療します。治療薬としては、尿道を拡げるα-ブロッカーを使用します。国内では女性に使用できるのはエブランチルという薬だけです。

機能性尿失禁
高齢者などで、尿路に異常はなくても、体の動きが緩慢であったり、身体が不自由であったり、認知症(痴呆)などのために尿意があってからトイレに行き着くまで、時間がかかって、そのために間に合わないでもれるタイプです。このようなタイプの尿失禁を機能性尿失禁と言います。

治療と対応としては、まず、自分の一日の排尿パターンを知ることから始めます。排尿日誌(後述)をつけてみると、何時ころトイレに行って、どのくらいの排尿量があるか、何時頃にもれやすいのか分かります。もれやすい時間帯が分かれば早めに排尿する習慣をつけることで対処できるかもしれません。
また尿路に感染(膀胱炎など)がなく、にょうがきれいで、かつ膀胱から尿管や腎に向かって尿の逆流がなければ、トイレに行きたくなったときに、少し我慢をする習慣をつけることで膀胱の容量を増やすことができます(膀胱訓練)。我慢することをふだんからこころがけるとよいでしょう。

尿道外尿失禁
これは腟などの、正常の尿路以外のところから尿がもれているもので、症状からは一般の尿失禁と区別がつかないことが多いものです。
本来、膀胱に開口すべき尿管が、尿道や腟などに開口していたり(異所性尿管開口)、婦人科などの手術後に尿管と腟、あるいは膀胱と腟の間に、バイパスができて腟から尿が出てきたりします。一般的には手術による修復が必要です。

Posted by 2011/08/14

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