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腹腔鏡下仙骨腟固定術の要点

骨盤臓器脱(POP)に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)を開始して1年半経過、私が術者として執刀した症例数は50例になろうとしている。先週は3例(内、執刀2例)経験した。
先々週には鹿児島にお邪魔してアウェーでの手術も経験した。
POPは症例により構造は千差万別、臨機応変な対応が求められる。
ようやく臨機応変力がついてきて最初のステップをクリアしたような気がするが、私にとってはまだまだブラッシュアップして行くべき術式である。
少ない経験からではあるが、難しかった手技について述べてみる。
(1)直腸の剥離:腟壁に切り込んでしまいがちなので、腟壁直腸間の膜組織を繊細にはくりしていく。両側肛門挙筋も膜を開けて行くと奇麗に出て来る。できるだけ末梢まで剥離するべきである。
(2)膀胱と腟との剥離: 膀胱頚部までしっかり剥離して、そこにメッシュをしっかり縫着(3針)しておくことが膀胱瘤の再発防止に重要。
(3)子宮温存する場合の広間膜の開窓:大きく開けると良い。これも膜を意識して一枚ずつ開いて行くと血管を避けることが容易になる。

一般的に、しばしば大出血するといわれている仙骨前面の剥離と前縦靭帯へのメッシュの縫着のステップであるが、今までのところ出血で難渋した症例はなく、ここも膜を意識して剥離し正中動静脈を避ければ大きな危険は無いと考える。

手術成績であるが、術後のPOPの修復には非常にすぐれており、メッシュ感もなく、腹圧性尿失禁の出現がやや多い以外に問題を感じない。
適応に関して:早期職場復帰を希望される方、sexualy active な方を中心に60歳代までで、高度の肥満が無い方には術式を紹介している。
LSC手術希望は増加しているが、TVMに比べて手術時間がかかるのと器具の関係で一日一例しか施行できないので最大週3例までという制約があり、手術待ちが増えているのが目下の課題である。
これからも手技を改善、より精度の高い術式をめざしたい。

Posted by 2014/11/18

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