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女性泌尿器科百科(1)女性泌尿器科とウロギネコロジー
私が「女性泌尿器科外来へ行こう」を出版したのが5年前。性差に基づく医療のもっとも必要な科が泌尿器科であり、女性泌尿器科の専門医が求められていると書きましたが、2011年を迎えた今日もその状況は変わっていません。
女性の骨盤内には男性にはない、子宮や卵巣があり外陰部には膣が開口しています。膀胱からの尿を排出するための尿道は3~4cmと短いのに対して、男性の尿道は15~20cmと長く、前立腺という臓器を貫く形で排尿がなされるようになっていて、排尿の仕組みも大きく異なります
泌尿器科はもともと男性の科としてのイメージが強く、実際、多くの泌尿器科医も男性の診察には慣れていますが女性の診察には慣れていないのです。
女性泌尿器科の病気には各種の尿失禁(尿もれ)や子宮脱、膀胱瘤など骨盤の中の臓器が膣から脱出してくる骨盤臓器脱などがあり、男性を診察するのと全く違った考え方をする必要があるのです。
これらの病気は女性の骨盤底の障害によることから、これらの病気の診断や治療にはこの骨盤底についての知識が必要になってきます。女性泌尿器科の専門医には、排尿についての知識に加えて、これら女性骨盤底についての知識が必要なのです。
またこれら、女性泌尿器科の病気は泌尿器科と婦人科の境界領域にあると言えます。婦人科にはウロギネコロジー(泌尿婦人科)という分野があり同じような領域の病気を扱っていますが、どちらの専門医もまだまだ少ないのが現状で、5年前とあまり状況は変わっていません。
5年間で変わった点を挙げれば、テレビや新聞に「骨盤臓器脱」や「尿失禁」のとりあげられることが増え、正しい情報がより多くの人に伝えられるようになったことでしょうか。
Posted by 2011/01/11