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骨盤臓器脱と無料電話相談キャンペーン
6月21日から「ひまわり会」などの患者会と全国8つの医療機関の共催で女性の骨盤臓器脱/尿もれ無料電話相談キャンペーンが開催される。骨盤臓器脱などの女性特有の疾患はQOLを著しく損なうにも関わらず患者さんが最新の治療にたどり着くことはなかなか難しい。最近でこそ時にテレビや雑誌に取り上げられるようになったが、まだまだ正しい知識が患者さんに届いているとは思えない。子宮に問題がなくても子宮摘出が行われ、その後間もなく膣断端脱として再発した患者さんが何人も私のクリニックに来られる。もっと早く受診してほしかったと思うことが日常茶飯事になっている。TVの番組で取り上げられる際には、制作者の意図する流れで番組が作られていて必ずしも正しくない知識が広まることに危惧を感じる。電話相談キャンペーンは私が代表をしている「女性の排尿障害を考える会」の会員の医療機関と女性泌尿器科の元患者の会「ひまわり会」がエキスパートの視点と患者さんの視点で患者さんの相談に乗る催しである。敷居の高い医療機関に受診するのにためらいのある患者さんも電話でなら気軽に相談ができる。新聞各社のご好意で告知記事が出た際には各機関100ー200コールもの相談が寄せられる。とても十分に対応できるわけではないが、希望者には詳しいパンフレットを作って郵送する。相談された方の30%程度のかたは受診される。電話で話すことにより受診に対する心理的な障壁が低くなるのかもしれない。一人でも多くの患者さんに最新の治療を受けていただきたいという思いから年に数回の電話相談を始めてからもう8年目になる。その間に骨盤臓器脱に対するTVM手術を1200例、尿失禁に対するTVT/TOT手術をやはり1200例執刀した。いずれも国内では最多の件数である。手術成績は非常に良い。今後も多くの患者さんに最新の治療を届けるために電話相談を続けていきたいと思っている。また、この電話相談キャンペーンには新聞各紙の記者さんたちの理解と協力があって初めて成り立っている。この場を借りて心から感謝したい。 竹山政美
Posted by 2010/06/16