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腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)ノート(4)
LSC手術のメリットとデメリット
LSC手術のメリットとデメリットをTVM手術と比較してみました。
これにより、患者さんがどちらの手術を選択すればよいのかの参考になります。
それぞれの項目は執刀する術者の技量によりますので参考の資料としてください。
LSCのメリットはTVMに比較して性交痛の出現が少ないことで、まだ性交渉のある方には薦められます
メッシュを膣壁や肛門挙筋にしっかりと縫合固定するので、TVMに比較して術直後のメッシュのズレをきたしにくいと考えられ、退院後すぐに普通に生活でき職場復帰も早期から可能です。
LSCでは手術時間が長いので超高齢の方には不向きだと思われますが術者の技量によります。
手術時間:私の場合(LSCの執刀250例、TVMの執刀4000例)は下記のようになります。
LSC: ダブルメッシュで子宮膣上半切除の場合2時間ー2時間30分
TVM: TVMA2 30分、 TVMC4 1時間、 TVMA2P 1時間10分
LSCでは高度の肥満の方の手術は難しい: LSCでは腸を上腹部に移動させて、手術の術野を確保するのですが、肥満の方では腸間膜の脂肪が分厚いと腸を移動させるのが困難になるのです。またメッシュの脚を固定する岬角前面の脂肪が分厚くて血管や神経、靭帯を同定するのが難しくなるのです。
どのくらいの肥満までOKかはやはり術者の経験と技量に依存することになります。
LSCでは術中に頭を低くして手術を行うため、眼圧が上昇し、脳内の血管の圧も上昇するので、眼圧が高い方(緑内障など)や脳動脈瘤など脳血管に異常のある方は禁忌としています。
Posted by 2016/09/28