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二月になり梅が開きました
先週末は東京で診察、手術がなかったので一日早く帰阪した。
熟睡して覚醒、庭に出てみると紅梅が二輪咲いていた。年末、年始、ブログを更新する余裕もなかった。
能力以上の仕事をいただき、昨年は薔薇の世話もままならず、年末に冬剪定を始めてみると、7年間、清楚な花を楽しませてくれたつるアイスバーグの大株、ピエール・ド・ロンサールの大株の根が蝕まれているのを見つけた。早晩枯れてしまい今年は花を見れないかと思うと寂しい限りだ。今年はガーデニングの時間を作らないといけない。
今日は残りの薔薇を剪定し、最後にボニカ82の大株のために180cmのフェンスを2枚立てて、株を誘引した。結構な大仕事だったが、春が楽しみだ。
Posted by 2019/02/03
最近のLSC
第一東和会病院ウロギネコロジーセンターでは、相変わらず骨盤臓器脱に対して腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)を週3-4件は行なっていて、施設としての症例数は500件を超えた。
私自身の執刀数も前任地から数えて500を超えた。メッシュの張力を次第に緩くしたり、張ったメッシュの張力に影響しないようにダグラスを高位で閉鎖するとか、ダブルメッシュLSCが次第に優れた術式になってきたと実感している。
これら術式の改良には名鉄病院の成島先生、KKR高松病院の岡添先生らの、アイデアが大いに寄与している。
この日本式LSCとも呼ぶべき術式を世界に発信しようと、前向き試験としての他施設共同研究をようやく開始することができた。
名鉄病院、岐阜赤十字病院、KKR高松病院、第一東和会病院の4施設で300例の症例数で有効性、安全性を検討するのであるが、多分手術数は1年以内に達成されると思われる。3年目までの成績を論文にまとめたい。
またこの2ヶ月間、LSCにPTFE製メッシュであるORIHIMEを使用したが、なかなか術式との相性が良かったので、30例ほどの成績を後方視的にではあるが、まとめて発表する予定である。
Posted by 2018/11/04
アップホールド型TVMもいいね!
2011年にFDAにより発せられた経腟メッシュ手術に対する警告により、すっかり危険な手術というレッテルを貼られた感のあるTVM 手術であるが、私のほぼ5000例の経験からは骨盤臓器脱に対する非常に有用な手術である、と結論づけざるを得ない。
ただし条件は正しいアンカリングで精緻な手術を受けるということである。
膀胱瘤に対してはTVMA2という私が開発した2本脚の前腟メッシュ手術の成績が良いが、子宮脱ステージ3以上がある場合にはTVMPを追加する必要がある。
子宮を仙棘靭帯にアンカリングして吊り上げるためである。
アップホールド型TVMは膀胱側腔から仙棘靭帯にアンカリングすることで子宮をかなり挙上できるので、重度の直腸瘤がなければ、子宮脱に対する良い修復ができる。
しかも仙棘靭帯へのアンカリングは確実なのでTVMをこれから取り組もうと考えている術者にはアップホールド型TVMをお勧めしている。
当科でも最近子宮脱の著しいPOPにはアップホールド型を施行することがある。
ただし他の施設でされている術式と異なる点は当科でのメッシュの型はスモールメッシュではなくてTVMA2と同じ本体で脚の方向を変えたのみのもので、本体の大きさは縦8センチ、横7センチである。写真はTVM A2メッシュである。
今日の症例はC=3くらいの子宮脱で、出血もなく綺麗に修復された。
使用するニードルであるが今日は島田P1ニードルを用いて見たが創外まで導くことは困難だったので竹山ニードルのブラインドキャッチが良いかもしれない。
続報は後ほど!
Posted by 2018/09/01
臨床泌尿器科「匠の伝承 手術を極めたいあなたへ」に匠の一人として書きました
臨床泌尿器科という泌尿器科の雑誌が「匠の伝承 手術を極めたいあなたへ」という特集を組み、この度刊行された。
その中の骨盤臓器脱に対する経腟メッシュ手術 (TVM)のパートを私が書かせてもらった。
「読者は術式はよく理解しているものとして、是非とも伝えたいことを書いて欲しい」との要請に応えて、TVMの術式そのものの誤解を解くためにもアンカリングの重要性を強調した。
2011年FDAの厳しい警告の影響で悪者扱いされているかのごときポリプロピレンメッシュであるが、正しいアンカリングにより綺麗に展開したメッシュ が優れた骨盤底修復をもたらすことは私の4800例に及ぶ手術経験が物語っている。
LSCがブームとなっている昨今であるが、この日本で発展、改良されたTVM手術はこれからも骨盤臓器脱手術の重要なツールであり続けると考える。
しからば、骨盤臓器脱手術のエキスパートになろうとする若い泌尿器科医には是非とも正しいTVM手術を身につけていただきたいものである。
Posted by 2018/08/19
第20回日本女性骨盤底医学会報告
日本女性骨盤底医学会が東京で開催された。
この学会は2002年にUrogynecology研究会として発足して以来日本のウロギネコロジーの歴史を作ってきた。
私も発足間もなく幹事として参加した。
2003年第2回の研究会に私が「女性のための泌尿器科外来の統計」を報告した時の座長が故島田誠先生だった。2005年の金沢での研究会に際しては講演に来られていたカンザスのD.Robinson先生に大阪まで来ていただき経膣メッシュ手術の手ほどきをしていただき、私のTVMの師となったのも懐かしい。
はじめて学会として開催された第8回(2006年)大会で、私がセルフカットメッシュを用いたTVMをシンポジウムで世に出したのもこの学会である。
時代とともに骨盤臓器脱の治療も変遷し、今回の発表ではLSCに関するセッションが幅を利かせ、NTRの復権も目立った。
TVMに関しては、日本製PTFEメッシュに関するランチョンセミナーが目新しいところで、成本先生の名調子の講演は一聴の価値あり。
この学会ではコメディカルの活躍するセッションも多くの聴衆を集めて盛況だった。第一東和会病院からも保科Ptがなかなかいい発表をした。
Posted by 2018/07/26
第3回LSCビデオセミナーが第一東和会病院で開催されました
光陰矢の如し、ブログを書くのが追いつかないのであるが、去る7月14日に我が第一東和会病院にて第3回LSCビデオセミナーが開催された。
LSCとは laparoscopic sacrocolpopexy の略で日本語では腹腔鏡下仙骨膣固定術、骨盤臓器脱を腹腔鏡下に治療する術式のことである。
鏡視下に近接イメージを術者、助手、看護師などが共有しながら手術が進行し、動画を見て術式を議論もできるので、動画を持ち寄るセミナーで多くの知識が得られる。
今回も60名以上の参加を得て盛会だった。
午前中は一般の会員からの術式動画を拝見したが、
一昨年、昨年、今年と全体の技術が着実に上がり、術式の問題点が見えてきたようだ。
お昼前に昨日のライブの解説を安倍先生と私が行った。
午後はエキスパートによるレクチャーで成島先生の基調講演、以下数人のエキスパートのレクチャーは、このようなセミナーでしか聴けない知識の集積だった。
Posted by 2018/07/25
日本製のメッシュが使用できるように!
先週末、東京で第20回日本女性骨盤底医学会が開催され、ランチョンセミナーで日本製PTFEメッシュORIHIMEがお披露目された。
待望の国産メッシュであるが、使用上注意したい点がある。
ポリプロピレン製メッシュより、ずいぶん滑りが良いのである。メッシュ手術を執刀された経験のある方ならおわかりだろうが、メッシュの脚が滑りやすく、かなり太くしても抜けそうな感じがあり、術後の再発が心配である。金沢大学の症例でも一例再発したということだが、その原因 がこの滑りやすさであった可能性がある。
今日、このメッシュの形状に一工夫加えることで滑りやすさが解消され、早期の再発を心配することなくこのメッシュを使用できることになった。
思わず「天才やー!」と万歳してしまった。
次回、その工夫につき詳述する。
Posted by 2018/07/24