第一東和会病院 女性泌尿器科・ウロギネコロジーセンターへようこそ
●自分でできる骨盤底のケア
尿失禁や骨盤臓器脱の主な原因の一つとしては骨盤底のゆるみがあげられます。
日頃から体重のコントロール(太らない)・便秘しない(排便時にきばらない)・重いものは持たないなどの腹圧のかからない生活を心がけることが症状の改善や予防につながります。
骨盤底を鍛える体操・骨盤底筋体操
せきやくしゃみ、重いものを持ったときなどについ漏れてしまう腹圧性尿失禁。
トイレに行きたいと思ったら、もう我慢ができない切迫性尿失禁。
重いものを持った時や長時間の歩行後に膣から何かが脱出する(下がってくるような感じがする)骨盤臓器脱。これらの症状は骨盤底のゆるみが原因であることが多いのです。
ゆるくなってしまった筋肉をもう一度鍛えるためには骨盤底筋体操が有効で、正しく行うことができれば2~3ヶ月の期間に何らかの改善が期待できます。
骨盤底筋体操のやり方
- ●まず初めにリラックスをすることが大切です。
- ●肩の力を抜いてゆっくり深呼吸をしてください。鼻から吸って、口からゆっくりと吐きましょう。
- ●どのような姿勢でも行えます、自分にあった姿勢で無理なく行いましょう。
- ●継続して行うことが重要です。毎日の日課に組み込んで、続けて行ってください。
図1 仰向けの姿勢で。

- リラックスしましょう。腹式呼吸を行います。鼻から吸って、口をすぼめてゆっくり吐きます。
- 足を肩幅に開きお腹に手を当てます。腹式呼吸が上手にできていれば、お腹が動くのがわかります。
- 膝を立て、足を肩幅に開けます。
- 肛門と膣をお腹の方へ引っ張ってくるような感じで締めましょう。
- 瞬発力を鍛えるための早い運動「締めて、ゆるめて」を2秒間行う。(この運動を10回)
- 持久力を鍛えるための遅い運動を行う。締めた状態を5秒間キープしてください。
この時呼吸は止めないように「12345」声を出すようにしましょう。
(この運動を10回)(図1)
図2 机にもたれた姿勢で
- 机に両手をつき、腕に全部体重をかけます。
- 腰の力を抜いて、リラックスしましょう。
- 足は肩幅くらいに開きます。
- お腹の力を抜きましょう。
- 肛門と膣を上に引っ張り上げるような感じで、締めます。
- 瞬発力を鍛えるための早い運動「締めて、ゆるめて」を2秒間行う
(この運動を10回) - 持久力を鍛えるための遅い運動を行う。締めた状態を5秒間キープしてください。
この時呼吸は止めないように「12345」声を出すようにしましょう。
(この運動を10回)
図3 座った姿勢で
- 椅子に浅く座ります。
- 背中はまっすぐにのばし、足を握り拳ひとつ分開けます。
- 腹に手をあてお腹が動かないように意識します。
- 膣と肛門を上に引っ張られるような感覚で肛門と膣をゆっくりと締めます。
- 力を抜き、膣と肛門が下に落ちるような感覚を意識しましょう。
- 瞬発力を鍛えるための早い運動「締めて、ゆるめて」を2秒間行う。
(この運動を10回) - 持久力を鍛えるための遅い運動を行う。締めた状態を5秒間キープしてください。
この時呼吸は止めないように「12345」声を出すようにしましょう。
(この運動を10回)
(ひじやひざをついた姿勢で)
- 床にひざをつき、クッションの上にひじをつきましょう。
- リラックスして、お腹の筋肉はゆるめましょう。
- 肛門と膣をしっぽがあるつもりで、ゆっくりとしっぽを振り上げるような感じで締めます。
- 瞬発力を鍛えるための早い運動「締めて、ゆるめて」を2秒間行う。
(この運動を10回) - 持久力を鍛えるための遅い運動を行う。締めた状態を5秒間キープしてください。
この時呼吸は止めないように「12345」声を出すようにしましょう。
(この運動を10回)
- Q.どの程度やれば効果がでるのか?
- A.筋力運動なので短期間ですぐに効果のでるものではありません。
2~3ヶ月継続して毎日行うことで、効果が感じられるようになります。 - Q.体操が正しく行えているのかがわからない
- A.お腹を動かさずに、肛門・膣が締まる自覚があるなら、体操は正しく行えています。
確認する方法としては、次のようなものがあります。
1.膣に指を挿入し、膣を締めてみる
2.排尿中に尿をとめる
3.鏡を使い動きを確認する
4.座った姿勢で握り拳を内ももに挟み、膣周囲の筋肉が締まるのを確認する - Q.3ヶ月やってみたが効果がない
- A.一度専門家の指導を受けてみましょう。第一東和会病院 女性泌尿器科・ウロギネコロジーセンターでは、骨盤底筋体操の個別指導を看護師が行っています(有料)。ご希望の方は診察時にお申し付けください。器具を使用して、膣圧(膣を締める筋力)を測定したり、機械を使用して筋力UPする方法などもあります。
干渉低周波治療(ウロマスター)による治療
切迫性尿失禁を含む過活動膀胱や腹圧性尿失禁に対して、骨盤底筋体操と併用することにより効果が見られます。1回20分間、週1回のペースで8週間を1クールとして行います。

磁気(PBトレーナー)による治療
欧米では腹圧性尿失禁の治療の第一選択と認めている国もあります。
磁気を用いて骨盤底筋を収縮させます。骨盤底筋体操を併用することにより効果が持続します。
