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国際学会(IUGA)の報告
昨年は移動先もなかなか決まらない中参加できなかったinternational urogynecology association の40周年大会に参加しました。
気候の良い南仏プロヴァンスのニースでの開催とあって日本からも多くの方が参加されていました。
国際学会に参加する意義はオピニオンリーダーや企業の動きから世界的なトレンドを肌で感じて流れに乗り遅れないようにすることです。
亀田総合病院ウロギネコロジーセンターのJimmy こと野村昌良先生の国際的ネットワークにはいつも驚かされるが、還暦を過ぎた私にもまだまだやるべきことがあると感じられます。
この1ー2年、世界のトレンドは変わっていないようで、私のできることは質の高いフランス式の腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)を広めることと経腟メッシュ手術の再評価であろうと再確認しました。
ドゥテラック先生の紹介で、IUGAのLSCグループから日本でLSCのグループをまとめて研修会を開くように要請された。野村先生と頑張ろうということになりました。
まずは「LSCテクニック」の出版に全力で取り組むことと、来年は「TVMテクニック」の全面改訂も視野に入れて、やれることはまだまだあると再確認してフランスを後にしました。
Posted by 2015/06/16
Capio device を用いたTVM
昨日、旭川で他院でTVM (たぶんAP)手術後の子宮脱再発症例を診察しました。
精確なアンカリングをしてもプロリフト型のTVMAP後に子宮が下垂してくることがあります。
この症例では膀胱瘤、直腸瘤は見られなかったので、近いうちのLSC、子宮上半部切除、付属器切除をお勧めしました。
子宮脱が主であるPOPにTVMは向かないのかというとそうでもないのです。プロリフト型TVMでは難しいが仙棘靭帯にアンカリングするアップホールド型のTVMは相性が良さそうなのです。私もまだまだ長期フォローの症例はないのですが今のところ成績が良いようです。
この術式、仙棘靭帯を裏から穿刺するのは出血のリスクがあったのですが、もうすぐ発売のCapio deviceを用いることでかなり安全にこの手術が可能になります。
Capio のラーニングカーブは3ー4症例と考えられるので、Capioの価格次第では、そのうち広く行われるようになるかも知れません。
症例が増えた時点で再度報告したいと思います。
Posted by 2015/05/15
LSCはさらに精確に!
先週は連休明けにLSCを3件執刀して個人としての症例は77例となった。
3件とも少し難しい症例で、卵巣摘出後の癒着がひどい症例、子宮内膜症の癒着がひどい症例など、癒着を剥離して場を作るのが難しい。
金曜日には亀田総合病院泌尿器科部長でLSCの師匠、安倍弘和先生に来院していただいて手技をアップデートすることができた。
LSC手術は奥が深くて、より洗練された精確な手技を身につけていくためには進化し続ける安倍メソッドを伝授してもらう必要がある。
今回は(1) 膣断端脱症例の剥離面を出すチップス、(2) 膀胱頸部側の剥離を更に1cm 進めるチップス、(3) 体外結紮から体内結紮へ、持針器のマニュピュレーション、など、収穫は大きかった。
次回は7月、また楽しみです。
今年はLSCのテクニック本を企画しているのでモチベーションが上がります!
部下の教育と自身のグレードアップと今週からまた頑張ります。
Posted by 2015/05/11
LSC教育プログラム
今日から5月、私が第一東和会病院に移って2ヶ月が過ぎました。
3月末から手術を開始して、LSCも3月24日から週に2例ずつ執刀して、個人的な症例数も70例を超えました。手術手技はほぼ定型化し、
これからは術式の精度とQualityを上げながら、ウロギネチームに手技を伝えて行く段階に入ったと思われます。
手術手技を教えるのはなかなか骨が折れる作業であります。
さて、どのように教えるか。
ドライボックスを用いた日常の基礎練習はもちろん基本となります。
実際の手技はまずは助手をして流れを覚える。
次に執刀してもらうわけですが全てを執刀してもらうと6-7時間かかるだろう。
そこでLSCを次のようなステップに分解してみました。
ステップ1 腹膜縫合
ステップ2 子宮上半部切除
ステップ3 術野作成と後腹膜剥離
ステップ4 膣前壁剥離
ステップ5 前壁メッシュ縫合
ステップ6 膣後壁剥離
ステップ7 後壁メッシュ縫合
ステップ8 前縦靱帯の剥離と運針
このステップを手術ごとに2つずつ執刀してもらっていますがトータルの手術時間は3時間ー3時間30分に収まり、指導する側のストレスもあまりありません。
全てのステップを5回ずつ経験してもらうことで20例で研修を終了となります。
2人の研修に40例の手術が必要ですが、約5-6ヶ月で2人の術者が育つことになります。
10月にはストラスブールに赴きIRCADの研修プログラムに参加予定で、DVD付きのLSCの技術書を年内に出版する見込みであり、中途半端な術式が広まる前に、できるだけQualityの高いLSCを伝承していきたいものです、今年のメインテーマです。
Posted by 2015/05/01
日本泌尿器科学会2015
先週末から5日間、金沢で開催された日本泌尿器科学会総会に出席し、発表、座長など多忙な時間を過ごしました。
会長招宴は流石に並木会長のおもてなし、豪華絢爛な宴でした。隅の席で盟友、黒田先生と隣席だったので楽しい一時でした。お世話になった先輩方にも挨拶することができました。
宴のあと、黒田君と東北地方の新鋭の教授と3人で遅くまで飲みました。
翌日は、三浦雄一郎氏の講演に感動し、エネルギーをいただきました。ランチョンセミナーは今回は腹腔鏡手術関連のレクチャーを聴きましたが、腹腔鏡下腎摘の動画など懐かしく拝見しました。
夜はアンサンブル金沢のコンサートを聴いてから福島先生と熱燗で一杯やりました。
翌日は郡先生と門田先生の示唆に富む講演を聞きました。お昼に出版社の方とお会いして、企画中の書物のアウトラインを決めることができました。
夜は雨の中、金沢城で大懇親会、寒かったです。
翌日は休日、雨の予報の中、栗林先生のご招待で能登半島へドライブに。美味しい寿司に輪島塗の絵付け体験と楽しませていただきました。夜はまた楽しい飲み会!
最終日は午前中発表、午後は巨匠にまなぶセッションで島田誠先生の講演の座長を務めました。そして最後の骨盤臓器脱のシンポジウム。どうも私の考えとかなりずれた方向の話になっています。どうなんでしょう?
並木会長および金沢大学の先生方、ご苦労様でした、感謝です!
Posted by 2015/04/26
高槻通信1
高槻、第一東和会病院ウロギネコロジーセンターを開設して1ヶ月あまりが経過しました。
前任地、梅田ガーデンシティ女性クリニックのスタッフ、新任地、第一東和会病院の飯田理事長以下のスタッフの皆さんの献身的な働きで一時はどうなることかと危ぶまれた患者さんの振り分けと移転が軌道に乗りつつあります。感謝の言葉も見つかりません。
移転直後に「おはよう朝日です!」に取り上げられたり、3月末の市民公開セミナーの盛況などもあって、開設直後からの多くの新患によって外来は戦場と化すことも。
手術室は活気があり毎日多くの手術が行われています。内視鏡外科の先生方に毎回多くのことを学ばせていただきながら、週2ペースのLSCと多くのTVMをこなしています。3Dの内視鏡があり、環境は文句のつけようがありません。
ラパロの教育も手術をセグメントに分けることで限られた時間の中で効果を上げつつあるとおもいます。
来年くらいからレジデントなど積極的に受け入れていければ良いなと考えています。
通勤は天気の良い日は高槻市駅から19分の徒歩を入れて1時間20分、近くはないですが良い運動になります。
より良いシステム作りはこれからですが、定期的に経過をご報告したいと思います。
Posted by 2015/04/18
Capioという優れたデバイスを用いたTVM
まもなくCapio という深部に糸を掛けるためのデバイスが使用できるようになる。
それに先立ち臨床評価のために第一東和会病院にも5例分のデバイスが供与され、早速これを使用したTVMを行なったのでその感触を報告したい。
2005年6月に米国の婦人科医 D.Robinson 先生をお招きして経腟メッシュ手術を教えていただいた際に10セットほどのCapio をいただき、それを用いてTVMを始め、数十例に使用したので懐かしいデバイスであるが、今回使用したCapioはとてもスリムで最小限の剥離層でも操作できることにまず驚いた。
昨年来、カダバーで数回使用したが実際に使用してみるとまた新たな感触がある。
1例目は直腸瘤に対するTVM-Pに使用した。剥離はいつものように行い仙棘靭帯を2横指ほど確実に触れるようにして、左右1−0の非吸収糸を2本ずつファイアしてメッシュ脚に通して穿刺の代替としてアームを固定した。メッシュは非常に美しく展開できた。
2例目は膀胱瘤が主で子宮脱もある症例に対するTVMーEL (エレベート型TVM )にCapioを用いて第2穿刺の代替とした。仙棘靭帯に前から左右2本ずつファイアして第2脚を固定した。これも非常に良いアンカーとなりメッシュは奇麗に展開された。
3−4例程度でファイアには慣れる。当科の鍬田医師も2回目か3回目には仙棘靭帯にうまく糸を通していた。
臀部の痛みがないという患者さんの声を聞くと、なかなか捨てがたいデバイスであり、価格次第では、TVMの安全性をより確かなものにするために採用するべきアイテムになるかもしれない。
より詳しい内容はは第2報で!
Posted by 2015/04/09
立ち見の出た「骨盤臓器脱」セミナー
先週のひまわり会主催「骨盤臓器脱」セミナーは久しぶりに大盛況、参加112名で狭い会場に立ち見が出てしまいました。
会長の挨拶、LSC手術を受けられた方の体験談に続いて私の基調講演「今年こそ骨盤臓器脱を克服してQuolity of Lifeをアップしよう!」25分で時間通り終了。いつも以上に頭が冴えていました。
朋子さんのアイリッシュハープと歌で疲れた心身も癒されます。
休憩をはさんで管理栄養士村田智恵先生の女性のための栄養学の話、いつものように面白くわかりやすくてためになる話。あっという間にQ&Aセッションに。35件ほどの質問にできるだけ丁寧にお答えして、挙手での質問にもお答えしてセミナーは終了しました。
持参した拙著「女性泌尿器科へ行こう!」はサイン入り20冊完売。
次回9月のセミナーは高槻市の会場で行う予定です。
参加者のほとんどが骨盤臓器脱に悩んでおられると思われるので、明日から第一東和会病院の予約センターが忙しくなりそう!
Posted by 2015/04/04
日本骨盤臓器脱手術学会報告
3月6日(金)のライブサージェリーにはじまり3月8日(日)のラウンドテーブルセッションまで3日間、忙しく手術し、発表し、勉強し、飲み食いした。
会長が内視鏡手術の大家、日本医科大学の明楽重夫教授だったこともあり,この学会をきっかけにLSCを開始する泌尿器科、婦人科医が増加しそうな雲行きだった。
確かにLSCは素晴らしい手術であるが、それなりのトレーニングと経験があって初めて安全で優れた手技を習得することができる。
TVMについてもずっと、いろいろな手技を一括りに論じて違和感を感じ続けてきたが、LSCについても精度の問題を含めて、術者としての悩みが始まる予感がする。
精度の高いLSCの手技とトレーニングについてのテキストを作らなければ、と思いながら帰阪した。
明日から、再び高槻での地ならしである。
Posted by 2015/03/08
クリニックは大流行り!
クリニック閉院まで1ヶ月を切った2月第1週に恒例の骨盤臓器脱電話相談キャンペーンを開催したところ4日間で70件以上の相談が寄せられ、同時に対応されていたひまわり会の電話にも途切れることなく相談が寄せられていたようだ。
今週も多くの新患が受診され3月からの第一東和会病院での診察枠を次々と埋めることとなっている。
折も折「おはよう朝日です」のディレクターの方から電話があり、2月末に「骨盤臓器脱」の新しい手術について取材、3月初めに放映をという申し出を受けた。第一東和会病院ウロギネセンター立ち上げと同時にTVに、という絶妙のタイミングである。
潜在患者さんの多いこの病気、多くの方に良い医療を届けるためにはメディアに取り上げてもらうのが一番なのだ。
もうすこし早くこんな波が来ていたら、クリニックは存続していたかも、神様は天邪鬼だ。
Posted by 2015/02/21