女性泌尿器科(ウロギネコロジー)外来へ行こう
●骨盤臓器脱
1.骨盤臓器脱とは?
2.骨盤臓器脱の種類
3.骨盤臓器脱の原因
4.骨盤臓器脱の頻度
5.骨盤臓器脱の症状
骨盤臓器脱の症状としては、
・脱出の程度に応じて膣に何かがはさまった違和感、圧迫される感じ(午後に症状は出現しやすいです)
・膀胱瘤⇒排尿困難、頻尿、尿失禁、残尿感(排尿症状)
・直腸瘤⇒残便感、便意があるのに便が出ないタイプの便秘症
・下腹部が引っ張られる感じ(下垂感)、下腹部痛など・膣壁または子宮が常に脱出している場合⇒その部分が下着にすれて出血するなど不快な症状
症状が進むにつれて外出を控える、旅行やスポーツなども避けるなど日常活動に制約されることが多くなり
↓
QOL(quality of life、生活の質)が低下します
6.膀胱瘤
膀胱が前膣壁とともに膣口から脱出した状態で、尿がたまったときにより大きく脱出することがあります。この状態を膀胱瘤といいます。
膀胱瘤の初期:尿道を支える構造が弛緩したことに起因して、咳、くしゃみ等で尿漏れする腹圧性尿失禁症状を生じることがあります。
膀胱の下垂・脱出が高度になると:多くの場合に尿道の位置も下方に移動
⇒尿道は屈曲⇒尿失禁の症状が消え
⇒排尿困難、尿勢低下など排尿障害の症状が出現
膀胱の膣外への脱出部分がさらに大きくなる:残尿が多くなり、すぐに膀胱に尿が充満して尿意が出る
⇒頻尿また、切迫性尿失禁症状も出やすくなります。
7.直腸瘤
膣入口と肛門は3-4cm離れていますが、肛門から4-5cmなかに入ると直腸になり、直腸壁と膣壁の間には脂肪の層と薄い隔壁があるだけで、直腸と膣はかなり接近しています。
分娩後にはこの隔壁はいっそう薄くなっていることが多いです。
直腸の壁が膨らんで、後膣壁とともに膣入口から脱出した状態を直腸瘤といいます。
直腸瘤が高度の場合には、膨らんだ部分に便が溜まる
⇒排便時にいきみをかけても圧力は直腸瘤の部分に作用するのみで、うまく排便できない
⇒直腸内に残った便は腸表面からから水分を吸収され硬さをまして、いっそう排便しにくくなり
⇒便秘症状はさらに強く
⇒便秘になるとさらに強くいきむ
⇒直腸瘤の脱出がさらに強くなる
という悪循環になってしまいます。
8.子宮脱
子宮最下端(子宮膣部)が膣外に脱出した状態をいいます。しかし、1.子宮のサイズは正常大で子宮の位置が全体的に下垂して脱出している場合と、2.子宮は本来の位置より下垂しているが、どちらかといえば子宮下部1/3(子宮頸部といいます)が正常よりも著しく延長した結果、子宮の先端が膣外に脱出してしまったという場合があります。
子宮頸部とその前方に隣り合う膀胱は生まれつき密接に接合しています。ですから子宮頸部が膣外に脱出してくると、子宮が単独で下垂・脱出するのはまれで、通常は膀胱もある程度下垂してきます(膀胱瘤の合併)。
子宮脱の症状は、脱出時に膣口周辺の違和感が強く、脱出部の子宮膣部が下着にすれて擦過傷を生じる、出血する、などの症状が認められ、衛生上の問題が生じる場合もあります。子宮全体が下方に移動すると下腹部の違和感、下腹部痛などの症状も出現します。