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●骨盤臓器脱
1.骨盤臓器脱とは?
2.骨盤臓器脱の種類
3.骨盤臓器脱の原因
4.骨盤臓器脱の頻度
5.骨盤臓器脱の症状
6.膀胱瘤
7.直腸瘤
8.子宮脱
9.子宮摘出後の膣断端脱

子宮筋腫などの理由で子を摘出したあとに、膣の一番奥の部分が脱出しているものを膣断端脱といいます。
しばしば手術で子宮をとっているのに子宮が出てきた、あるいは子宮を摘出しているのに、脱出するはずがないなどという誤解をもたれることがありますが、膣断端も支えが弛緩していれば容易に脱出を生じます。私が執刀した骨盤臓器脱の手術症例約900例のおよそ20%がこの膣断端脱でした。

10.骨盤臓器脱の診断・評価

どの部位がどれだけ脱出しているかを診断することが必要で
1)下垂する部位別に膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤などと診断
2)つぎに下垂脱出の進行度(程度)を細分して記載
記載法にはいくつかの種類があります。最近では国際禁制学会が提唱しているPOPQ分類法(stage0からstage4まで分類)が採用されるようになりました。

POP-Qシステム

一般に膣入口よりも外側に子宮、膣、膀胱、直腸などが脱出した段階で自覚症状出現してきます(POPQ分類ではstage2以上)。自覚症状出現をまって、治療を開始する考え方もありますが、骨盤底筋体操についていえば、下垂の早期の段階で体操を始めたほうがよいと思われます。

骨盤臓器脱の診察に最も適した時間帯は臓器の脱出しやすい午後の遅い時間帯で、さらに砕石位で脱出を認めない場合には、立位で軽く足を開いた状態で腹圧をかけてもらうことにより臓器が脱出しやすくなります。

11.骨盤臓器脱の治療

治療法としては、

  • 1)経過観察
  • 2)骨盤底筋体操
  • 3)フェミクッション
  • 4)リングペッサリー
  • 5)手術:従来法、TVM手術 症状に応じて行っています

骨盤臓器脱が軽症の場合、
1)下垂はあるが、最も下垂している部分はまだ膣入口よりも内側にあり、かつ下垂の自覚症状を伴わない場合
⇒一定期間の経過観察後に再診、または骨盤底筋体操
2)下垂の違和感は強いが、診察時には下垂がみられず、骨盤臓器脱の診断がつけられない場合
⇒自覚症状は強いものの、実際には下垂が軽度の場合と、普段長時間の立ち仕事のあとに脱出するとか、外出したあとに脱出するとか、夕方になると脱出するという方(つまり、脱が再現されなかったというケース)
⇒いずれも、一定期間後の再診

骨盤臓器脱が中等症あるいは重症となり、自覚症状も出現し、脱出も確認されて診断がついた場合
⇒根本的な治療として手術療法が考えられます。
手術療法には
1)従来法(多くの施設で施行)
2)メッシュ手術(私が2005年にフランスから導入しました)

手術を実施できない状況(内科的な合併症の治療を優先させる必要がある場合、家庭の事情で入院手術ができない場合、入院手術自体が受容できない場合)
⇒一時的な治療として
1)フェミクッション
2)リング式ペッサリー治療  が行われます。

12.骨盤底筋体操

骨盤底筋体操とは?
弱まった骨盤底筋の収縮力をたかめる体操を毎日一定回数、2、3ヶ月は続けます。
子宮脱初期、腹圧性尿失禁の軽症の場合に有効です

方法
姿勢は、仰向けに横になって行う方法と、立って爪先立ちの姿勢で行う方法、椅子にすわって行う方法があります。

骨盤底筋体操

膣~肛門の周辺を締めるイメージで、骨盤の筋肉をすぼめる動作をくりかえします。排尿中に尿をとめるイメージで行います。
椅子に浅く腰をかけて両大腿を強く寄せ付けながらつま先を立てる動作を繰り返すことも、有効です。

注意点
短期間での効果は期待できません。
いずれも継続して行うことが大切です。
また症状がすすんだ骨盤臓器脱には効果は期待できません。

効果が得られるのに時間がかかること、効果の程度には個人差がありますが、骨盤底筋体操自体には副作用はないので、一度は試みてもよい治療法と思います。

13.フェミクッション
14.リングペッサリー
15.骨盤臓器脱の手術(従来方法)
16.骨盤臓器脱の手術:TVM法

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