尿失禁・骨盤臓器脱などの女性骨盤底疾患を主な対象とした女性のためのサイトです。

女性泌尿器科(ウロギネコロジー)外来へ行こう

●骨盤臓器脱
1.骨盤臓器脱とは?
2.骨盤臓器脱の種類
3.骨盤臓器脱の原因
4.骨盤臓器脱の頻度
5.骨盤臓器脱の症状
6.膀胱瘤
7.直腸瘤
8.子宮脱
9.子宮摘出後の膣断端脱
10.骨盤臓器脱の診断・評価
11.骨盤臓器脱の治療
12.骨盤底筋体操
13.フェミクッション

フェミクッションとは?
クッション・ホルダー・サポーターの3つの構成品から成る、骨盤臓器脱専用の治療器具です。
使用方法
体格・脱にあわせたクッションをホルダーで固定し、サポーターを用いて、装着します。

骨盤底筋体操

クッションにより、下垂した臓器を受け止め、脱を予防し、ホルダー・サポーターで固定することにより、様々な日常生活の動作に対応できるようになっています。

適応患者

  • ・日常生活に支障を感じている方
  • ・リングペッサリーの自己着脱が難しい方
  • ・手術待ちの方
  • ・持病の為/妊娠・出産を望む為、手術が受けられない方

使用のメリット

  • ・使用が簡単(自宅で、患者さん自身で装着が可能)
  • ・使用中、痛み・出血を伴わない
  • ・下着感覚で使用可能
  • ・性行為の妨げにならない

お問い合わせは指定代理店 株式会社M&Eメディカルまで。
〒552-0012 大阪市港区市岡1丁目1番26号
コスモプレミアムベイ大阪803号室
TEL 06-6556-6781 FAX 06-6556-6782

14.骨盤臓器脱の治療(リングペッサリー)

リングペッサリーとは
直径5~8.5cm程度のドーナツリング状膣内挿入器具です
使用方法
リングの穴の部分に子宮膣部が入るよう、膣内に挿入します。
適合サイズのリングペッサリーが、正しい位置に挿入されている場合には、子宮膣部を支持し、子宮の脱出をおさえることができます。

注意点
挿入中の違和感や早期の脱出などリングペッサリー治療に不適合のケースもあります。
また膣の粘膜に炎症を生じたり、膣壁損傷をきたしたりするトラブルもありますので、定期的なチェックが必要です。

基本的には、様々な理由で手術できない場合などに限られた使用、一時的な治療法です。

当院では、上記のようなトラブルが多いため、一時的な治療法としては、リング式ペッサリーではなく、フェミクッションをお勧めしています。

リングペッサリー

15.骨盤臓器脱の手術(従来方法)

従来からの骨盤臓器脱の手術療法で、日本では現在も大多数の施設で実施されている方法です。

子宮脱⇒膣式子宮全摘術+前後の膣壁形成術
子宮を摘出し、弛緩した膣壁をある程度切除して縫い縮める方法です。
この方法で治療をすると膣壁を切除しますので膣が狭く、かつ膣の深さも浅くなります。
後膣形成術で左右の肛門挙筋を中央で縫合すると、後に性交痛の原因になることがあります。
前膣壁形成術では外尿道口に近くまで切開したのちに膣壁の一部を切除して縫合しますが尿道の下側の筋膜部分も左右縫い合わせますので、術後の排尿機能回復が遅れることがあり、その場合は術後に導尿が必要になります。

膀胱瘤⇒前膣壁形成術

これら従来の手術方法は脆弱な膣壁を用いて修復を行うために再発率が高く(30%以上)、子宮自体に病気が無くても子宮を摘出され、前後の膣壁を縫い縮める結果、膣が狭くなったり浅くなったりして性交に支障が来すといった問題点があると考え、私のクリニックでは骨盤臓器脱に対して、メッシュを用いたTVM手術を行っています。

16.骨盤臓器脱の手術:TVM法

TVM(=Tension free Vaginal Mesh)手術とは?
2000年にフランスの婦人科のグループが開発した手術法
弱った膣壁の代わりにポリプロピレン製のメッシュを用いて弱った支持組織をおきかえる手術法です。
再発率が低く、原則として子宮は温存出来る体に優しい手術法と考えられています。今まで治療が難しかった子宮摘出後の膣断端脱に対しても治療が可能な手術法です。

日本には私(竹山)と昭和大横浜市北部病院の島田誠教授が2005年に導入しました。現在、優れた治療成績が知られ、骨盤臓器脱のゴールドスタンダード術式となろうとしています。特殊な技術を用いるため、術式の習得にはエキスパートによる指導が必要で、この方法でしっかり手術できる施設は国内ではまだ10施設にみたない状況です。私は大阪中央病院在任中に、2005年6月より2009年8月までの約4年間に約1000例の手術を行っています。

TVM手術では、人工素材を網状に縫い込んだ、メッシュを使用します。これまでは、筋膜の代用としてヘルニア手術などで広く使われてきました。人工素材だけに異物としての欠点もありましたが、素材の改良が重ねられ、骨盤臓器脱の治療にも応用できるメッシュが開発されました

骨盤臓器脱の手術:TVM法

TVM手術は
骨盤臓器を力のかからない自然な位置に矯正し、その状態を保つようにメッシュで支える手術です。
メッシュは本体とアームからなり、本体を膣と膀胱の間、膣と直腸の間に挿入し、アームを骨盤奥の靱帯や筋膜に貫通させ固定します。

メッシュ本体⇒痛んだ筋膜のかわりに面として骨盤臓器を支えるアーム⇒それらを吊り上げる靱帯の役割を担います。

TVM-A(前方TVM)⇒膣前壁をメッシュで補強しつつ新しい支持を作る
TVM-P(後方TVM)⇒膣後壁をメッシュで補強しつつ新しい支持を作る。

二つの組み合わせで、手術を行います。
TVM-A、TVM-Pはそれぞれ30~40分の手技です。
膀胱瘤→TVM―A
子宮脱→TVM-A+TVM-P
直腸瘤にはTVM-P
と術式を選択しています。

TVM手術

手術の利点:
痛んだ筋膜を補強に使用しないため、再発が少なく、突っ張り感などの違和感(性交時痛)が少ない切開は膣壁以外には股部と臀部に5mm程度4-6箇所のみで、傷はほとんど目立ちません

手術の合併症:
術中;出血、膀胱・尿管・直腸損傷(約2%)
術直後;血腫形成(1.7-3.4%)
術後:尿失禁の出現(5%程度)、尿閉(一時的)
長期合併症;メッシュびらん(約2-5%)

*元来尿失禁を合併していた患者様が、骨盤臓器脱の症状悪化に伴い、膀胱の落ち込み・尿道の圧迫により、排尿困難をきたし、尿失禁がマスクされる場合があります。これらの方は、手術により骨盤臓器脱が治療されることで、尿失禁が再発してしまいます。
その場合は、尿失禁の種類に応じて、内服・手術などの追加治療が必要となる場合があります。

術後の注意点!!
メッシュはそれぞれ4本の脚を体の中のしっかりした組織に通してあるだけなので、術後早期に腹圧がかかるとずれてしまう可能性があります。
⇒そのため当クリニックでは入院期間を十分にとり、術後一週間は腹圧のかからない生活をしてもらうように考えています。(入院期間は10日間です)

TVM手術

退院後も
・1ヵ月半は力仕事しない
・便秘にならない
・体重を増やさない 注意が必要です。

17.骨盤臓器脱の手術(LSC法)

骨盤臓器脱に対する新しい手術 LSC手術

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