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断捨離
この2月末で5年半過ごした職場、梅田ガーデンシティ女性クリニックと昨年11月に移ったばかりの高石藤井病院ウロギネセンターを離れて、第一東和会病院に活動の場を移すことになる。
大阪中央病院に赴任したのが1995年だから、大阪北の中心地、梅田で20年勤務したことになる。
物を捨てられなかった私にスペースを与えてくれた医療法人良秀会のおかげで、研究資料はよいとしても、新聞、雑誌のたぐいからパンフ、CDその他、処分すべき資材の山が今私を悩ませている。
片付けをしていて楽しいこともある。古い写真が出て来ると、しばし眺めて、時間が経ってしまうが楽しいひとときでもある。
面白い物があった。J&J社のTVTデバイスのスチールの太い針が1000本以上。これはTOTにTVTのテープを用いていたころ、テープだけを使用して針だけを切り離した廃物であるが千本もあると壮観である、名付けて「ハリセンボン」、何とか作品にしたいと残してある。
話を戻すが、物を捨てるためには一つ一つ検証しなければならないので時間を食う。いつか検証しようと思い、置いてある段ボールが15箱ほどある。1週間まえから少しずつ分別しているが8割以上は捨てることになる。
考えるのが面倒なのか、何でも簡単に捨てられるようになったことに自分自身驚いている。年齢を重ねるとは物を捨てられるようになることか、とも思う。
ともあれ20年分のゴミを捨てて、また新しいものを蓄積できると思うと少しわくわくする。
そのためにも2月末までに捨てきらなければ行けないのだ。
明日は建国記念の日、一日かけて、職場のゴミを捨てて、断捨離の日としよう!
Posted by 2015/02/10
亀田総合ウロギネコロジーセンター
昨日は東京駅近くの亀田京橋クリニックでウロギネ外来、今日は亀田総合病院で骨盤臓器脱に対するTVM手術を2例ハンズオンした。どちらも楽しく有意義な時間だった。
亀田には2ヶ月に一度、はるばる出かけては、野村センター長と最新の情報を交換している。
ウロギネ診療の大きな流れを作って行こうとしている野村先生のエネルギーにモチベーションをいただいて、西でもがんばって行こうという気をもらって帰阪することになる。
PrTVM研究会のおもだったエキスパートは私を含めて、この2年間にLSCに手術の軸を移しつつあるようだ。もちろん、精度の高い手術であることが前提になるが、LSCの術後の仕上がりが美しいことが彼らのセンスを魅了するようだ。
亀田も6割はLSCになっていて、既に300例を越える症例を経験している。経験症例数はすなわちエビデンスである。私も多くのチップスを野村先生からいただいている。多分LSCの流れは亀田から発している。
この得難いチップスをテキストにして早い段階で多くの方に届けたいと最近強く思うようになった。
経腟メッシュ手術、TVMもエキスパートが執刀すれば短時間で低侵襲素晴らしい術式であるが、粗悪な手術によって辛い思いをされた方を多く見てきて、重要ポイントを踏まえたハンズオンの重要さをひしひしと感じたという経緯がある。
LSCに関しても「理にかなった良い術式をできるだけ早く広めたい」と野村、三輪、両先生と意見の一致を見たので「LSCテキスト」を出版する方向で尽力してみることにした。
またPrTVM研究会の発展したライブの会として、今年11月にKamedaIRCADを開催することになった。
今年も新しいことができそうで少々わくわくする。このように移動に忙しい時期ではあるが、亀田出張はやめられない。
なお、3月末に、三輪先生が亀田を辞して、岐阜赤十字病院に泌尿器科部長として戻られるとのこと。私の楽しみの一つであった三輪先生との手術論議ができなくなるのは寂しいが、岐阜でのウロギネ診療発展を期待したい。
Posted by 2015/02/07
移動の時期ですが電話相談キャンペーンを実施します!
実は、あまりにも多忙でブログの更新が全くできない状況なのだが、来週からの全国骨盤臓器脱無料電話キャンペーンのお知らせをしたい。
年3回、ひまわり会、ウロギネ女性の会、全国の骨盤臓器脱診療のエキスパートによる電話相談はもう10年以上続いているが、悩みの種は、恒例の行事になってしまうと新聞記事として取り上げてもらいにくくなることだ。
という事で、新聞社にお願いするときには何かトピックスを考えてプレゼンすることになる。
今回は昨年4月に保険収載になった腹腔鏡下仙骨腟固定術の成績をもって行った。私個人の症例数も50例を越えて、術式は安定し、術後の解剖学的修復もQOLも素晴らしく良いので、ついつい熱弁をふるってしまう。
しかしながら、今回はどうも大阪方面は低調なキャンペーンになりそうだ。
せっかく良い術式を広めたいのだが、私のパワー不足は否めない。
3月から高槻市の第一東和会病院にウロギネコロジーセンターを開設して、しばらくは地域の婦人科、泌尿器科の先生方とのネットワーク作りに忙しくなるが、診療と教育にも新しいものをを作っていかないと面白くない。
久しぶりに「わくわく」してみたいものだ。
Posted by 2015/01/30
骨盤臓器脱全国無料電話キャンペーンのお知らせ
2月第1週を中心に電話相談キャンペーンを開催します。
2月20日、尿漏れ克服記念日に因んで毎年行っている電話相談であるのですが、近年、尿漏れより骨盤臓器脱のご相談が圧倒的に多いので今回も「骨盤臓器脱電話相談」となりました。もちろん尿漏れの相談もお受けしています。
電話相談をします、とネットで告知してもほとんどコールはありません。新聞に告知記事を書いてもらって初めてその存在が知られ、お困りの方から電話をいただけるのです。
ということで昨日は朝日新聞社と朝日ファミリー新聞社でパワーポイントを用いて骨盤臓器脱についてのプレゼンをしてきました。
掲載された記事の場所と面積、見出し活字の大きさで電話相談の数が決まります。
記者の皆様、よろしくお願い致します。
Posted by 2015/01/11
謹賀新年
一年の計は元旦にあり、まずは神頼みから。近くの甲山神呪寺に赴き、昨年の無事を感謝し、今年の心願成就を祈念した。おみくじを引くと「吉」、悪くない。信仰には疎いがなぜか運気は信じてしまう。
昨年は公私ともに混迷の一年だった。
年初から経営者との意見の相違から、私のウロギネコロジーセンター構想に黄信号が灯り、早々と組織からの離脱を決意した。チームでの移動は容易ではなかったが昨年末にようやく未来を託せる施設と基本合意に達した。年明けから患者さん約3000名のスムーズな振り分けに忙しい日々が始まる。
年初から数回に分けて今年の「一年の計」を書いてみる。
今回は骨盤臓器脱の手術に関してのパラダイムシフトについて。
2005年から広く行われてきた経腟メッシュ手術(TVM手術)から腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC手術)に治療の中心が徐々にではあるが変わってきているように感じる。
TVMの名手の何人かがLSCをブラッシュアップして質の良い手術に育てている。名鉄病院の成島泌尿器科部長、亀田総合病院の安倍泌尿器科部長、野村ウロギネセンター長、砺波総合病院の江川泌尿器科部長らである。私の症例数も50例を越えて術式が安定して精度も上がってきた。
この手術の日本でのパイオニアである日本医大の明楽教授を会長にして第1回LSC懇話会が開かれこれらのエキスパートたちのLSCについての忌憚の無い意見を聞く事ができた。
LSCの仕上がりの自然さと成績の素晴らしさがTVMの名手の口から聞けた事は画期的な出来事であった。コンセンサスとしては直腸瘤が主であるPOPを除いてオールマイティである、というものであった。
私の手術に関しても最近は年配者、高度の肥満の方、直腸瘤が主の方などを除いてLSCを薦めるようになってきた事に驚いている。
教育に関して言えば、LSCは見える手術で手術の精度が手に取るようにわかり、TVMよりずっと教育が容易である。
早速、LSC臨床トレーニングスケジュールを作成したので年始から私の部下の教育を始めようと思う。
今年はこの傾向がウロギネのエキスパートに浸透して行くのではないか。
そのようなわけで今年はLSCをさらに良い手術に育てて行こうと考えている。
次回は私の新しいウロギネコロジーセンター構想について。
Posted by 2015/01/02
健康とは
今週水曜から旭川、札幌、長崎、鹿児島を巡るハードな旅程をたてていた。旭川、札幌、鹿児島ではTVM手術のハンズオンを、その合間に長崎で高校のクラス会とかなり欲張りなスケジュール。
月曜の夜中に不吉な痛みを腹部に感じたのが事の始まりだった。
てっきり感染性胃腸炎の兆候かと思ったのは鼓腸と軽いイレウス症状が何度か経験したノロウイルスによる胃腸炎と類似していたからである。
火曜日は高石藤井病院でLSCとTVMの予定があり藤田保健衛生の佐々木先生が見学に来られる事になっていた。滅多に渋滞しない阪神高速湾岸線が事故渋滞していて2時間近くかかる通勤の車の中で腹痛が続き苦しい時間をすごした。
何とかたどり着いた病院で、痛みをこらえて理事長にある事を告げ、外来でPOPの新患を3人いい加減に診察して、10時からLSCを開始、幸いスムーズに2時間台で終了、TVMも無口に終了し帰宅。
夜間再び腹痛で目が覚め、眠れない時間にすべての旅程をキャンセルすることも頭をよぎる。折しも爆弾低気圧で北海道地方は大荒れの天候、旭川にたどり着けるかどうかも不詳だった。少し眠って朝になると腹痛はおさまっていた。
水曜日、梅田の午前中の外来は何とかこなし、伊丹空港に向かう。羽田ー旭川は天候調査中でとにかく羽田空港までの手続きしかできないとの事であったが、了承して羽田へ向かう。
羽田では、新千歳空港に向かうか、羽田に引き返すこともあるとの条件つきのフライトで搭乗したが機体は大きな揺れを繰り返しながらも運良く旭川空港に着陸できた。
北彩都病院の金子先生と夕食時に症状と感染性胃腸炎だと思う旨をお話ししたところ、翌日朝、点滴しましょうという事になった。
点滴時に採血してもらうと、CRPが2.8、クレアチニンが1.7、尿酸7.8、ビリルビン1.6でかなりの脱水があるとの診断であった。午後のTVMハンズオンが1例熱発でキャンセルとなり、1例のみとなったのが幸いした。手術後にも点滴する事になったが、金子先生の提案で1泊入院する事になり腹部レントゲンとCTをとってみると、左尿管結石と水腎症がある。
夕方、ステントを留置して入院、金子先生のおすすめで翌朝ESWLを受けてから札幌に向かう事にした。
泌尿器科医として35年間、診察してきた結石患者に自分がなった。尿管結石など想像もしなかったが、症状と体の感覚のいろいろな点が腑に落ちた。
紺屋の白袴である。
札幌では2件のTVMをハンズオンし、夜は藤井先生達とおいしい肉を(ほんの少しだけ)食べた。
幸せの第一は健康でおいしいものが食べられる事と知る。
長崎と鹿児島の予定はさすがにキャンセルし帰阪した。今回は多くの皆さんにご迷惑をおかけしたが運がよかったとつくづく思う。旭川に行かなければ、多分、大阪で腎盂腎炎となり健康をひどく害していたことだろう。
健康第一、まずは結石治療。再度の禁酒と食生活の改善。
Posted by 2014/12/20
第一回LSC懇話会報告
12月14日(日)東京で第一回LSC懇話会が開催されました。
まだまだ多数の症例をこなしている施設は少ないようですが、亀田総合病院の300例を筆頭に、日本医大、名鉄病院、高石藤井病院などは50例を超える手術を経験し、エキスパートたちにはTipsが蓄積しています。
今回はクローズドのミーティングで、LSCを安全で優れた術式として広めたいという、日本医大、明楽教授と亀田ウロギネセンター、野村センター長の意向により開催となりましたが、これらのTipsを共有することに大きな意味があります。。
私がトップバッターで動画を交えて発表、4人の発表の後はラウンドテーブルのような形で昼ご飯を食べながら、本音のディスカッションが交わされました。
午後は3人のエキスパートの発表があり、特に野村先生のトレーニング法のレクチャーはとても教育的ですばらしいものでした。
エキスパートの意見を総合するとその仕上がりの自然さからLSCはPOP手術の第一選択になる可能性があります。
最後はまたラウンドテーブルでミーティングで得られたコンセンサスをまとめました。
(1)直腸瘤が主のPOPを除けばLSCはすべてのPOPに第一選択の治療法となりうる。
(2)後壁メッシュは必要なければ入れない方が良い。
(3)前壁メッシュはできるだけ膀胱頚部側に深く挿入、固定する。
その他、谷村先生の仙骨、血管系の解剖の講義、コンセンサスとエビデンスは違うという深い話、その他語り尽くせないほどエキスパートのTipsの詰まった懇話会でした。
最後には永田一郎先生の深いまとめのお言葉が胸にしみました。
次回の議論は3月の日本骨盤臓器脱手術学会で行われる予定です。
Posted by 2014/12/16
直腸瘤に対するPTVMについてのコンセンサス
先々週末札幌での骨盤解剖セミナーでは多くのエキスパートと意見交換することができました。
腹腔鏡下仙骨膣固定術 (LSC) を好む術者は症例数をこなし経験値を上げています。亀田総合では300例を超えたとのこと、驚きです。
砺波総合の江川医師はもう経腟メッシュ手術は行なっていないとのこと。
症例をこなした術者達の感想は「仕上がり」の自然さ、美しさで、私の感想と同じです。
経腟メッシュ手術 (TVM) に関してはIUGAなど国際学会でのコンセンサスでは後膣壁にはメッシュを入れるべきではないということになっていて、昨年のPrTVMコンセンサスミーティングでも入れない方が良いという意見が多かったように記憶しています。
しかしながら後腟の余剰の腟壁を切除して縫い縮めるような形成術では、POP再発は目に見えていました。今回、亀田病院の野村Drから「やっぱりP-TVMは必要。一時やめていたが最近は積極的に入れている。」という意見をいただき「やっぱり、そうだろう!」と我が意を得たり、であります。
私は後腟メッシュが露出してきた経験もほとんどなく、再発も無く、患者満足度も高いのでぶれること無くPTVMは施行してきたこともあり、「精度の高い手技であればPTVMもまた優れた手術である」という立場を再確認しました。
もちろん、自分の手術ではどうしてもメッシュ露出が多くて、という術者はやめておいた方が良いでしょう。
今後もエキスパート達と術式の擦り合わせを欠かさず、骨盤臓器脱に対するメッシュ手術を良い術式にしてゆきたいものです。
Posted by 2014/11/30
第一回時計台骨盤解剖セミナーin Sapporoでライブサージェリーの術者となりました
11月20ー22日の3日間、札幌時計台病院での私とDr.Leeのライブサージェリーと札幌医大での新鮮凍結遺体を用いた骨盤底手術セミナーが行われた。ライブは私の経腟メッシュ手術を3件、Dr. LeeがCapioを用いたメッシュ手術を1件デモした。私自身も得るところもあり、素晴らしい企画だった。昨日と今日の解剖セミナーでは経腟とラパロの手術解剖で、幾つかの疑問点が解決されやはり得るところが多かった。時計台病院の藤井先生の企画力とネットワークに脱帽、来年も是非とも開催を!
献体していただいた白菊会とご遺体に心から感謝、合掌です。
Posted by 2014/11/28
腹腔鏡下仙骨腟固定術の要点
骨盤臓器脱(POP)に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)を開始して1年半経過、私が術者として執刀した症例数は50例になろうとしている。先週は3例(内、執刀2例)経験した。
先々週には鹿児島にお邪魔してアウェーでの手術も経験した。
POPは症例により構造は千差万別、臨機応変な対応が求められる。
ようやく臨機応変力がついてきて最初のステップをクリアしたような気がするが、私にとってはまだまだブラッシュアップして行くべき術式である。
少ない経験からではあるが、難しかった手技について述べてみる。
(1)直腸の剥離:腟壁に切り込んでしまいがちなので、腟壁直腸間の膜組織を繊細にはくりしていく。両側肛門挙筋も膜を開けて行くと奇麗に出て来る。できるだけ末梢まで剥離するべきである。
(2)膀胱と腟との剥離: 膀胱頚部までしっかり剥離して、そこにメッシュをしっかり縫着(3針)しておくことが膀胱瘤の再発防止に重要。
(3)子宮温存する場合の広間膜の開窓:大きく開けると良い。これも膜を意識して一枚ずつ開いて行くと血管を避けることが容易になる。
一般的に、しばしば大出血するといわれている仙骨前面の剥離と前縦靭帯へのメッシュの縫着のステップであるが、今までのところ出血で難渋した症例はなく、ここも膜を意識して剥離し正中動静脈を避ければ大きな危険は無いと考える。
手術成績であるが、術後のPOPの修復には非常にすぐれており、メッシュ感もなく、腹圧性尿失禁の出現がやや多い以外に問題を感じない。
適応に関して:早期職場復帰を希望される方、sexualy active な方を中心に60歳代までで、高度の肥満が無い方には術式を紹介している。
LSC手術希望は増加しているが、TVMに比べて手術時間がかかるのと器具の関係で一日一例しか施行できないので最大週3例までという制約があり、手術待ちが増えているのが目下の課題である。
これからも手技を改善、より精度の高い術式をめざしたい。
Posted by 2014/11/18