トピックスブログ
新しいウェブサイトと電話相談
毎週水曜日に骨盤臓器脱の電話相談を開始して1ヶ月が経過しました。
今日は4件の電話相談を担当したが、新しいウェブサイトのページをご覧になって電話してこられているようで、これからの情報提供のあり方について考えさせられました。
電話相談は潜在患者が多いにもかかわらず医療機関に受診するハードルの高い女性泌尿器科の疾患には重要な情報提供ツールとなりますが、電話相談を担当する医療者に高いレベルの知識と経験が無いと害を垂れ流すことになります。
ウェブサイトも常にアップデートしておかないと困っている方々に時代遅れの治療を薦めてしまうことにもなりかねないのです。
さらにインターネットを使いこなす比較的若い年代にも骨盤臓器脱で悩んでおられる方は少なくないと考えられますから、より若い世代に対応した治療法の選択などの情報も発信して行かなければなりません。
フェイスブックページも有効に活用しながら最新の治療法についての情報発信を今後も継続したいものです。
Posted by 2014/11/12
さらば泉北藤井病院
10月末日をもって5年間お世話になり慣れ親しんだ泉北藤井病院を去ることになった。
手術を行う病院が同じ医療法人内の高石藤井病院に変更になっただけであるが、多くの方々とお別れすることとなり、感慨深いものがあった。
2009年10月より私のウロギネチームの主戦場であった手術室は、5年前に新たに作ってスタッフを募集して、育てて素晴らしい環境であっただけに非常に心残りである。
移動することが決まってから、優秀な看護師Kさんは心が病んで退職となってしまい、その後Iさん一人で多くの手術を回すことになったので、言葉に尽くせないほどたいへんだったと思う。
関西ウロギネのメッカであった泉北藤井病院の手術室には日本全国から多くの専門医が手術の見学に来られ、足跡を残して行かれた。また昭和大横浜市北部病院の島田誠先生や静岡済生会の安倍弘和先生には手術の指導に来ていただき、我々の技術を向上させていただいた。感謝の言葉も思い浮かばない。
今月からは高石藤井病院に主戦場を移して、ウロギネセンターを再構築することになる。
今日は私のウロギネ初外来であったが、新規患者も数名来られていて、情報が早いことに驚いている。
来週からの手術に向けて、手術室ではスタッフが忙しく立ち回っている。
私ももうひと頑張りしなければ、と意を新たにした初出勤であった。
Posted by 2014/11/04
麻酔科の先生方、ありがとうございました!
Posted by 2014/10/25
LSC雑感
2013年3月からノウハウを蓄積し、安倍先生、野村先生の工夫を参考にしアップデートした結果、かなり良い術式となったと思う。
外来で術後をフォローアップしていてまず感じるのは、内診して全く手術の形跡がないということである。最初の症例以外に再発もなく、術後のQOLが非常に良い。
腟式メッシュ手術も精度の良い手術を行えば素晴らしい出来映えであるが、内診でわずかに手術の形跡を感じるので、比べるとLSCに軍配が上がる。
著明な肥満がなく、全身状態が良い患者さんには積極的にLSCを薦めるようになり、最近はLSCを希望される患者さんも多い。
LSCの術式にも、剥離の範囲、メッシュ形状、メッシュを固定する糸(吸収糸か非吸収糸か)などにより種々の方法があり、さらに剥離に使用するデバイスなどによっても仕上がりが異なることがわかってきた。欧米での術式の中には、動画で見る限りかなり粗い術者も多いようだ。
日本らしい繊細な術式を広めたいというエキスパートが集まり、12月にクローズドミーティングを立ち上げることになり、私も泌尿器科医として発表の機会をいただいた。
これからのLSCの健全な普及が切にのぞまれる。
LSCに関しては、まだまだブラッシュアップする点もあり、また折を見て報告したい。
Posted by 2014/10/12
退院してみてどうだった?
家に帰ってまず思ったことは、ベッドとソファの心地よさだ。帰る家があって良かった。5日間の入院でこれだから、長期入院だったらたいへんだ。健康は失って初めて価値がわかる。
退院3日目で職場復帰、腹痛があり、朝から声がかすれて出にくい。K先生に内診係をお願いしてあったので本当に助かった。 4日目には手術の執刀、3件にしぼっておいて正解、少し自信回復。
5日目の外来は新患も多かったが、声が出るようになっていて何とかクリア。
私の治療は腹腔鏡手術だったので創は無いに等しいが臍が痛む。もう排尿痛はなくなり回復はさすがに早いと感心。
6日目には3件手術した後、東京出張。7日目には亀田総合病院でハンズオン、もうフル稼働である。亀田ではN先生に元気をもらった、感謝!
来週は飲み会が2回、再来週は札幌経由松山、ハンズオンの旅が待っている。
いつからランニング、テニス、ジャズダンスを再開しようか。とりあえず明日帰阪したらウォーキングからはじめてみよう。
実はややこしい時期にさしかかっており、心が折れてしまわないように健康でいなければ!
Posted by 2014/10/05
入院してみた!
物心ついてより、全身麻酔下に手術を受けるのは初めて、体にメスが入るのは2年前にESDという上部消化管内視鏡手術以来となる。
今回の病気は私の専門である骨盤臓器脱や尿漏れと同じくQOLにかかわる病気であり、なかなか手術を受けるタイミングをはかるのが難しかったが、私の信頼する腹腔鏡下手術の名医、大手前病院外科部長、T先生の転勤を期に決心した。半年前から休暇枠を決め、予定通り手術を受けた。何か不測の事態がおきたら、多くの方に迷惑をかけることになっていたところであるが、信頼できる術者を選んだので昨日の職場復帰を一度も心配したことは無い。手術を受ける際は良い術者を選ぶことだけが肝要、と再認識。
入院したのは休日だったがT先生は出務されていて手術の説明を受ける。担当の前期研修医Y先生もまじめな方で安心の上にも安心。夜は熟睡したがベッドのマットが硬くて腰痛気味で目ザまた。
手術は午後2時ごろからの予定であったが、T先生が来られて「夜間に絞扼性イレウスの患者が入院して緊急手術となるので」と私の手術は5時頃になるとのこと。
さすがに空腹で仕事をする気にもならず、TVを見ていたら3時半頃に看護師さんが来られて「呼ばれましたよ」と。
手術台に横たわるとすぐに酸素マスクをかけられ、点滴のルートから多分プロポフォールが流し込まれたのか血管痛がして、間を置かず咳き込むのどの違和感、そのまま意識が落ちた。
夢は見なかったか、見た夢をわすれたのか、気がつけば手術は終わっていた。
フォーリーカテーテルが入っているから覚悟はしていたが強い尿意と尿道の痛みがある。看護師さんにお願いして坐薬を入れてもらう。
回復室のベッドはどちらを向いても体がいたくない。空気か水が体を支えている感じである。何度も目覚めて何度も眠った。回りの人たちもこの日の術後の患者さんらしく、確かにみんなつらそうだ。
やっと朝がきて、膀胱のカテーテルを抜去、飛び上がるほどの痛みだ。その後も血尿と排尿痛が続く。泌尿器科医としてはこのまま尿道狭窄になるのではないかと思うほど何日間か排尿がつらかった。
自室に帰り、体を拭いて、昼食から食事開始、むかつきがあるが一応半分摂取。持続点滴を抜去して体はフリーとなる。創は臍と左右の小さな穴のみのはずだが腹痛はそこそこある。ベッドが硬いので結構つらい。むかつきは脳の浮腫があったのだろう、一日中、多尿が続き、むかつきが消えた。
窓から大阪城が見える個室で天守閣が朝は逆光でシルエットに午後からは陽の光に輝く。夜はライトアップされ、大阪の風景も捨てたもんじゃない。
長時間座るのもつらいのでTVばかり見ていた。花子とアンのラストも不倫のドラマの最終回も見てしまった。金曜日にはリンちゃんが見舞いに来てくれた。毎回ありがとう!
腹腔鏡下手術だからといって術後の痛みが無い訳ではないが、発熱も無く、重症感は無かったが2日間は貴重な体験だった。排尿痛以外は想定内の入院だったが、患者さんの不安や痛みが少しわかったような気がする。
週末には早速、東京出張である。素晴らしい術者のT先生に感謝!
Posted by 2014/09/30
「骨盤臓器脱治療の未来像」シンポジウム-日本排尿機能学会
2014-09-19 17:56:59
夕方からその部下と島田先生と3人でぐるなびで見つけた「レオー二」というイタリアンで食事、これは当たり。
楽しいひとときのあとは翌日の3題の発表の準備、夜中に一応完了して就寝。19日は朝9時半から一般演題「P-QOL日本語版作成について」、昼にランチョンセミナー「女性尿失禁に対する中部尿道スリングーMonarc」を無事終了。午後はメインの発表「骨盤臓器脱治療の未来像」シンポジウムでの「TVM手術の今後の展開」
日大の高橋教授とはTVMについての温度差が無いので非常に講演しやすかったとの印象。安倍弘和先生の素晴らしいLSCの動画もあり、なかなか盛り上がりのあるシンポジウムでした。「後腟壁にメッシュを入れても問題ない」「新しいmeshであるpolyformはTVMに親和性が高い」
「今後もTVMは骨盤臓器脱治療の強力なツールである」などのコンセンサスが得られました。高橋先生に感謝!
Posted by 2014/09/22
腹腔鏡下メッシュ手術の雑感
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)が保険収載されて4か月あまり経過しました。
泉北藤井病院ではこの手術を開始して1年半になり症例数も50例を超えました。
術式は進化し続けてきましたが、安部先生、野村先生、成島先生などの工夫を取り入れながら確実な修復、安全な手技が確立した感があります。今は肥満と高齢者を除けば患者さんにLSCをオプションの一つとして説明しています。
これまでの経験からの雑感を述べてみます。
良い点
(1)骨盤の中から臓器の位置、構造を見ながら手技を進められるので安全、確実である。
(2)比較的若年の患者さんにも優れた修復を享受して頂ける。
(3)子宮や付属器の温存も可能であり、患者さんの希望に沿うことができる。
難しい点
(1)手技は難しいので、剥離、縫合、結紮などの基本手技はドライボックスでくさるほど練習しておくべきである。
(2)肥満の患者さんには勧められない。
(3)まだまだ手術時間が長い(2.5-4時間)ので高齢の患者さんに行うのは難しい。
などです。
以上のように良い手術ではありますが、腟式メッシュ手術(TVM)も優れた手術ですので術式の選択が難しい場合があります。
それぞれの術者が自分の技量の範囲でLSCを選択できるようになるにはドライボックス、あるいは助手として多くの症例を経験する必要があるように思います。
12月にはLSCの研究会が発足する予定と聞いています。より安全な手技の確率のために日本のエキスパートたちの叡智が結集されることを望みます。
Posted by 2014/08/13
ポリフォームを用いたTVW手術用型紙を更新しました
ポリフォームを用いたTVMを開始して3ヶ月、50例を超える手術を通して必要な手技、適切なメッシュ脚の幅などがほぼ把握できましたので、数種の型紙をリニューアルしました。4月末にリニューアルした拙著「新女性泌尿器科テキスト」の巻末付録の型紙集から、幾つかの変更があります。
Posted by 2014/08/03
女性医療研究所がんばっていますね
粘り強いフェミクッションの改良、その元になる素材の研究、まだまだ良いものにして行こうというビジネスをこえた熱意には脱帽です。
BS社のメッシュの脚が切れやすいことにいち早く着目し試作された「アームスルー」というメッシュカバーについては、今のところ私には不要ですが、TVMの経験の浅い術者には良いサポートになる可能性があります。
カバーの厚みが0.04mm と0.03mm の試作品を触って比較してみたが 0.02mm のものであれば私も使ってみたいという印象を持っています。
三井社長の骨盤臓器脱に対する熱い思いに触れて、楽しい時間を過ごさせていただきました。
Posted by 2014/08/01