尿失禁・骨盤臓器脱などの女性骨盤底疾患を主な対象とした女性のためのサイトです。

ブログ

ご無沙汰しておりました。

梅田ガーデンシティ女性クリニック 看護師の遠藤です。
ご無沙汰していました。お久しぶりのブログです。

お知らせです。来週月曜日より看護師が1名入職することになりました\(^o^)/

クリニック開設から働いてくれていた看護師が体調を崩し、退職してから
ずっと看護師2名で働いてきていたので、待望の新人です。

患者様には人手不足でお待たせすることもあったと思います。
申し訳ありませんでした。<(_ _)>

受付のスタッフさんにも対応を依頼することもありました。
ご協力ありがとうございました。<(_ _)>

先生方にも多くの協力をして頂きました。ありがとうございます。<(_ _)>

来週からは新しくそろったスタッフ全員で、さらに患者様に満足して頂ける外来診療を目指して、
頑張っていきたいと思います。

Posted by 2011/05/27

女性泌尿器科百科(12)さようなら尿もれ、尿失禁−1−

なたの尿もれのタイプは? 尿もれは専門的には尿失禁と言います。一口に尿失禁と言っても、その原因によりいくつかのタイプに分類されます。

女性に多い尿失禁は腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁とその混合型です。

腹圧性尿失禁

例1 Aさん、43歳女性の場合
2回妊娠、2回とも普通分娩、第2子出産後から、せき、くしゃみをしたときや縄跳びをした時などにもれるようになりました。40歳を過ぎた頃から体重が増え始め、それにつれて尿もれが悪化し、1時間ほど歩行すると漏れるようになったためパッドが手放せなくなりました。産婦人科を受診、薬を処方され骨盤体操のパンフレットを手渡されましたが、薬は全く効果がなく、骨盤体操は要点がつかめないため続けることができなかった。その後は治療をあきらめていましたがテレビと新聞で尿失禁が簡単な手術で治ることを知り私の外来に来られました。

腹圧性尿失禁の症状
せき、くしゃみ、重いものを持ったときなど、おなかに圧がかかったときに漏れるタイプを腹圧性尿失禁と言います。ひどくなると歩くだけ、立っているだけでももれるようになります。
このタイプは女性の尿失禁の半数以上を占めるとされています。原因はインテグラル理論によると骨盤底のゆるみ、特に前方領域のゆるみであるとされています。

尿もれ防止のメカニズム

インテグラル理論によると、腹圧がかかったときに女性の尿道は膀胱頸部(膀胱と尿道の移行部)ではなくて中部尿道(尿道の真ん中あたり)で閉鎖して尿もれしない仕組みになっています。そのためには恥骨尿道靱帯、尿道に接している前腟壁、恥骨尾骨筋、尿道周囲の結合組織などの統合作用が重要であるとされています。すなはち、骨盤底の筋肉や靱帯のバランスのよい緊張が急な腹圧の変化にも対応して尿道を閉鎖して尿もれを防止できるのです。

腹圧性尿失禁の原因
腹圧性尿失禁には2つのタイプがあることが分かっています。
尿道過可動
一つは尿道過可動タイプで、骨盤底の緩み、特にその前方領域の緩みが原因で、インテグラル理論による中部尿道の閉鎖がうまくいかないタイプです。名古屋第一赤十字病院の加藤久美子先生はこれを「ぐらぐら尿道」と名づけました。
骨盤底が緩む最大の原因は妊娠と出産です。妊娠から出産にいたる期間、骨盤底は、上昇した腹圧による圧迫を受け続けます。そして出産により、骨盤底の組織はむりやり引き伸ばされ、断裂することも珍しくありません。
妊娠中や出産直後には多くの女性が尿もれを経験します。通常は数週間で引き伸ばされた組織はもとに戻り、尿もれは止まります。
しかし、産後の骨盤底の緩んだ時期に無理に腹圧をかけたりすると、修復がうまくいかず、更年期前後に尿失禁や骨盤臓器脱が生じる原因になると考えられます。肥満や排便時にいきむなどの骨盤底に圧力をかける生活習慣もまた骨盤底を傷めつけ、腹圧性尿失禁の誘因となります。
骨盤底の組織の弾力性の維持には女性ホルモンであるエストロジェンが必要です。実際、この女性ホルモンが減少する更年期に腹圧性尿失禁の発症の一つのピークがあります。
また高齢になると加齢にともなう筋力が弱まりの一環として、骨盤底の筋力も弱くなり腹圧性尿失禁の原因となります。

Posted by 2011/05/24

女性泌尿器科百科(11) TVM手術、術後のQOLと満足度

QOL(quality of life)とは生活の質のことを言います。尿漏れや骨盤臓器脱などの女性泌尿器科の病気は直ちに命に関わることは少ないのですが、「外出をするのがおっくうになった」「下垂してきて気持ちが悪い」「好きなスポーツができなくなった」など生活の質が悪くなる病気です。この生活の質をいくつかの方向から判断するために質問票(アンケート)を用いて回答してもらい点数化して評価するための質問票が作られています。
一般的に、全般的な健康感の調査票として良く用いられるのがSF36(MOS36-Item Short-Form Health Survey)QOL調査票です。8つの領域についての評価が可能です。
図1はTVM手術を受ける前と3ヶ月後の値を示したものです。太字が日本人の標準値を表しています。すべての領域で手術前にはQOLが低下していることがわかります。手術後にはすべての領域でQOLが改善しています。

もう一つのQOL評価に骨盤臓器脱の病気に特異的なことがらに対する質問票(P-QOL)を用いた評価があります。
図2にこのP-QOLを用いた手術の前後の比較を示しました。面積が多いほどQOLが悪いと思ってください。手術の3ヶ月後にはすべての領域でQOLが著明に改善し生活の質が良くなっていることがわかります。

TVM手術の手術満足度を図3に示しました。多くの方が手術に満足されていることがわかります。ちなみに満足されていない方の理由は手術後に尿漏れがあることと手術後に尿が出にくいということでした。

Posted by 2011/05/21

女性泌尿器科百科(10)TVM手術の特長と問題点

TVM手術の特長

(1)どんな骨盤臓器脱でもTVM手術で治療可能
子宮の頚管の延長した症例では頚管を一部切除する必要があることがありますが、ほとんどすべての骨盤臓器脱を治療することが可能です。ですから術者を目指す医師も一つの術式に精通することで骨盤臓器脱のエキスパートになれるという大きなメリットがあると言えます。

(2)原則として子宮を温存することが可能
子宮にがんの疑いがあるなど問題がなければ子宮は温存できます。

(3)子宮摘出後の腟断端脱にはもっとも適した術式
これまで子宮を摘出した後の骨盤臓器脱を治療する方法としては開腹して行うか腹腔鏡下に行うメッシュを用いた仙骨腟固定術という方法が行われてきましたが術式が難しく、一般的には腟を閉鎖する術式が行われてきました。TVM手術を用いると標準的な方法で腟断端脱を問題なく修復することができます。

(4)臓器を摘出することがないので、体の負担が少ない

TVM手術の問題点

まだ新しい手術なので10年超の長期の成績が不明

手術の精度が術後成績に大いに影響する。

精度の低い手術をするとメッシュが引き攣れたりして後に痛みを生じることがある

術後の性生活において痛みが生じる場合があり、術後の性機能に対しての評価が定まっていない。

Posted by 2011/05/19

女性泌尿器科百科(9)骨盤臓器脱の手術療法2 メッシュを用いた手術

メッシュを用いた骨盤臓器脱手術についてお話ししましょう。
私と昭和大横浜市北部病院の島田教授が2005年に日本に紹介したtension-free vaginal mesh (TVM)手術は瞬く間に日本中に広まり2009年末までに国内で10000例を超える(メーカー調べ)手術が行われたと考えられます。
腟式メッシュ手術の展開
 腟式メッシュ手術は1992年ころから欧米で行われるようになりました。しかしながら、その実態は多くの術者が自分なりの手術法を考案して行ってはいますが、経験に基づく自分だけの手術法という程度にとどまり、広く行われる方法とはなりませんでした。その理由の一つはメッシュという体にとって異物である材料を体内に入れることで、手術の後で腟からメッシュが露出してくることが多かったこと(30%前後)です。メッシュの素材や織り方が今のメッシュと異なっていたことやメッシュを入れる場所などがメッシュ露出の頻度が高かった原因ではなかったと思われます。
 2000年にフランスの9人の婦人科医のグループ(TVMグループ)がメッシュを用いた新しい手術を考案しました。彼らは、初期には子宮を摘出した後にメッシュを用いて骨盤底修復を行っていたが、後に子宮を摘出せず、腟壁も切除しないとメッシュの露出が5%以下になることを報告しました。後にこのメッシュ手術はプロリフトというキットとして欧米で広く行われるようになりました。

TVM手術の考え方 
TVM手術がどのような方法で骨盤臓器脱を治そうとするのか、基本的な考え方を述べるので少しずつ理解を深めてください。
(1) TVM手術は骨盤臓器脱を面で修復
 TVM手術に用いるメッシュの写真を見ていただきたい。
9x7cm程度の台形に似た中心部(コアと呼んでいます)の面の四方に4本の細長い脚(アームと呼んでいます)がついたメッシュは前壁下垂(膀胱瘤や合併した子宮下垂)を治療するのに用います。
 メッシュのコアが、痛んだ筋肉の膜(恥骨頸部筋膜)の代わりに腟の前壁の骨組みになります。メッシュのアームを骨盤の中のしっかりした組織(骨盤筋膜腱弓;ATFPなど)を通すことで4点支持のハンモックを形成する役目を果たします。

ハンモックの面をきれいに張ることでどこに損傷があっても治すことができるのです。

(2)メッシュは鉄筋コンクリートの鉄筋である:私は患者さんに「メッシュは建物を立てる際の鉄筋である」と説明します。骨組みとなるメッシュには多くの穴が開いていて、コンクリートとして体の組織がすぐにその穴から侵入してきて一枚の生体の膜が作られるのです。

Posted by 2011/05/12

 こんにちは、御無沙汰していますなりちゃんです。この4月からは曜日によって担当がかわることとなり、わたしはこれまでの水曜日から火曜日の担当になりました。今後ともご愛顧ください。
 さて東日本大震災後でいまだ暗い話題が多いこの頃ですが、関西では少し明るい兆しが見え始めています。グリコの照明も点きましたね!いつまでも自粛するだけではいけないとのことで、我が泉北藤井病院でもささやかながら歓迎会なども企画されるようになりました。5月8日のGW最終日は透析室スタッフ全体でのバーベキューが開催され、私も参加させていただきました。
 春の心地よい青空のもと、堺市にあるバーベキュー場で行われたのですが、休日にも関わらず透析室スタッフの約9割が参加し、全員で30人近くでの大バーベキュー大会となりました。

去年は土砂降りの雨の中で凍えながらのバーベキューだったので、その分気持ちよさも2倍です。数Kgの牛肉をしっかり焼いて一斉に食べるのですが、やはり野外で、大勢でいただく焼き肉は格別です。そこにキューっとビールなぞ流し込むと最高ですね。途中にはバトミントン大会が行われ、なんと私のチームが優勝し見事賞品を頂きました。とはいっても風を味方にしたことによる偶然なんですが・
 バトミントンで使ったカロリーは今度は焼きそばにて補充され、ポンポンになったお腹を抱えながら気持ちよく帰宅の途についたのでした。家について体重を測ったら、「やばい・・・(結構)」結果でしたので、今週はカロリー控えめに行きたいと思います。
 というように4月から新しいスタッフを迎え、新たな体制で頑張っていこうと思っています。これからも宜しくお願いいたします。

Posted by 2011/05/10

ブログデビュー

はじめまして。金沢からはるばる大阪までやってきました川口と申します。GWも終わり、私が泉北藤井病院に赴任してから早くも1か月半が経ちました。たったの1か月半ですが、多くの患者さんと関わらせていただきました(手術入院で10日前後、検査入院は2日というペースで患者さんが入退院されるので結構大変です)。まだ、慣れない中でバタバタしていますが、手術を終えて笑顔で退院される患者さんをみると、非常にやりがいを感じます。より快適な入院生活を送っていただくため、頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。(ちなみに梅田ガーデンシティ女性クリニックには1か月半に1回程度の勤務となりかなりレアです。みつけたらラッキー???)

Posted by 2011/05/10

女性泌尿器科百科(8)骨盤臓器脱の手術療法その1

骨盤臓器脱の根治療法は手術

骨盤臓器脱は骨盤底のヘルニアと考えられ、その根本的な治療法は外科的にヘルニアを修復すること以外にはありません。しかし骨盤臓器脱は脱出している部分だけの問題ではなく、骨盤内全体の力のバランスがくずれて、その結果ある部分が脱出してきていると考えられ、出てきている部分だけを修復しても完全に治らないこともあるのです。

手術療法の考え方と従来の手術法

まずは手術療法の考え方と手術法の変遷についてお話ししましょう。

骨盤臓器脱の損傷している部分だけを手術で修復するという考え方に基づく手術を部分修復手術(site specific operation)と呼びます。

従来は部分修復手術を組み合わせて骨盤臓器脱を治療していました。例えば子宮脱と膀胱瘤がある症例には、子宮を摘出し、前後腟壁を縫い縮めるといった手術が行うといった組み合わせです。

マンチェスター手術 子宮脱や子宮頚管延長症の場合に行います。延長している子宮頚管を一部切除し、子宮を支えている仙骨子宮靱帯が短くなるように縫い縮めます。

腟式子宮全摘出術 子宮脱や子宮頚管延長症のある場合に腟から子宮を摘出する手術です。おなかを切らずにすべての操作を腟から行います。現在でも子宮体がんや頸がんの疑いのある子宮脱の患者さんにはこの術式を行ったのち、メッシュを用いた骨盤臓器脱の手術を追加することがあります。

ル・フォール手術 子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤の症例に行う腟を閉鎖する手術です。術式が単純で体に負担があまりかからないことから、高齢者やリスクの高い患者さんに行われることが多い術式です。術後には性行為が行えなくなることが欠点です。また不完全なル・フォール手術では閉鎖された腟が再度全体として下垂、脱出してくることがあり、私は、そうした症例に再度腟を解放した後、メッシュを用いたTVM手術を施行した経験が少なからずあります。

腟壁形成術 膀胱瘤や直腸瘤の症例で、緩んだ腟壁をはがして、その下の膀胱や直腸を押し込むように一部余剰の腟壁を切除して縫い縮める方法です。このときにメッシュを挟むように入れる方法も行われてきました。弱った腟の壁を修復に使用するため、また緩んできて再発することが多く、同じ手術を繰り返すと腟が浅くなったり狭くなったりするのも欠点です。

Paravaginal repair 膀胱瘤に対する手術法の一つで、腟の前壁の筋膜の側方が破れたり外れたりしている時に行われ、腟から行う方法、おなかを開いて行う方法、腹腔鏡を用いて行う方法などがあります。

仙棘靱帯固定法 腟を持ち上げるための手術法です。骨盤内の背中側にあるしっかりした仙棘靱帯という靱帯に腟の上端を縫い付ける手術で一時非常に盛んに行われました。腟の方向が左右どちらかに傾く傾向があることや、そのために骨盤内の圧力が前腟壁にかかりやすくなり、膀胱瘤が出現しやすくなるという欠点があります。

マッコール氏手術 腟を持ち上げるための手術法です。骨盤の後方から子宮を支えている仙骨子宮靱帯に腟の上端を縫い付ける方法で、子宮全摘出術などと組み合わせて行われます。

インモン法(腸骨尾骨筋膜固定術)腟を持ち上げるための手術法です。肛門挙筋の一つである腸骨尾骨筋膜の筋膜に、腟の上端を左右ともに縫い付ける方法で、図の赤い部分がその縫い付ける部分です。

ここまでとりあげた術式はすべて部分修復による手術法です。これらの手術には骨盤内のバランスが変わって他の部分の障害が出現することが少なくなかった。

これに対して、骨盤底全体を一括して修復する全体修復(total repair)という考え方による術式の一つとして、次の章でtension-free vaginal mesh (TVM)手術を紹介しましょう。

Posted by 2011/05/08

女性泌尿器科百科(7)骨盤臓器脱の治療その1

骨盤臓器脱の治療
骨盤臓器脱とは骨盤内の臓器を支えている骨盤底の弱い部分から臓器が脱出してくるヘルニアの一種と考えられるとお話をしました。ですからその治療は骨盤の底の構造を修復することが必要となります。
ここでは、まず骨盤底の構造と、その各部分が障害されるとどのような症状が現れるかについてのべたインテグラル理論について解説します。少しわかりにくい理論ですが要点を理解することで、症状への理解が深まると考えます。
次に患者さんの年齢と治療法の選択についてお話しし、予防法と保存的治療法について述べます。最後に根本的治療法としての手術療法について解説します。
(1) 骨盤底の構造とインテグラル理論
骨盤底筋は前方の恥骨と後方の尾骨との間にあるハンモック状の筋肉群を言います。もともと、人類の先祖が二足直立歩行をしていなかったころには尻尾を振ったりするために使われていた筋肉群です。これが二足直立歩行を始めたことから骨盤底に腹部臓器の重みがかかるようになり、それを支える役目を果たすことになったのです。これらの筋肉群と靱帯などの支持組織が協力して、膀胱、子宮、直腸など骨盤内臓器を支えるだけでなく、種々の臓器や神経、筋肉の高度な協調が必要とされる蓄尿や排尿、排便という機能に重要な役割を果たしています。インテグラル理論に基づく骨盤底を支えるメカニズムを図に示します。インテグラル理論によると、腟を中心にその前方の恥骨尿道靱帯と後方の仙骨子宮靱帯とで吊られたハンモックが尿道を支えています。

この理論では骨盤底の障害部位により疾患や症状に違いがあるとされています。

前方領域、つまり恥骨尿道靱帯や尿道を吊っている腟の前壁に障害があると、尿失禁や便失禁が現れ、過活動膀胱の症状がおこります。障害が進むと尿道が脱出する尿道瘤になります。
中央領域、すなわち腟の前壁に障害がおこると膀胱の支持が障害され、排尿困難、頻尿、過活動膀胱の症状が現れ、障害が進むと膀胱が腟から脱出する膀胱瘤になります。
後方領域、すなわち仙骨子宮靱帯や腟の後壁に障害が起こると、排尿障害、過活動膀胱、下腹部痛などの症状が現れ、子宮脱、直腸瘤、小腸瘤などが脱出してきます。

(2)年齢と治療法:私の前任地の大阪中央病院でのデータになりますが、骨盤臓器脱患者さんの年齢分布の図を示します。60歳代にピークがあり次いで70歳代、50歳代となります。年齢の高いほうでは80歳代の方も散見されますし、低い方では40歳代、30歳代の方もおられます。治療法の選択まず患者さんのQOL(生活の質)の程度と膀胱の機能が損なわれているかどうかによって決定します。ある程度臓器が脱出していても患者さんが困っておられなくて、排尿後に残尿がなければ保存的に経過を見るだけで良い場合があります。
Stage3、4の重度の骨盤臓器脱であってQOLも悪い場合には年齢に関わらず手術による根治が可能です。後述しますが、メッシュを用いた体に優しいTVM手術は体の負担も少ないためご高齢の患者さんにも適応があります。

(3) 骨盤臓器脱の予防と保存的治療法
骨盤臓器脱の予防には出産後からの骨盤底のケアが中心になります。
出産直後には重いものを持たない、長時間の立ち仕事をしない、体重を増やさないなどの気遣いと産褥体操として骨盤底筋のトレーニングが重要です。
更年期以後には女性ホルモンの減少、基礎代謝の低下による体重増加などによる骨盤底の弱まりが進みます。また便秘傾向による排便時のいきみが骨盤底を障害します。体重のコントロール、排便コントロール、重いものを持たない生活スタイルの確立などを心がけましょう。朝晩に骨盤底筋体操を日課にするなど日頃のちょっとした努力が骨盤臓器脱の予防になります。
保存的治療法としてはごく初期には骨盤底筋体操で進行を押さえることが可能です。さらにペッサリーリングによる補正、サポート下着であるフェミクッションによる脱出の防止などがあげられます。

1) ペッサリーリングの自己着脱法
ペッサリーリングにはいろいろな材質のもの、形態のものが使用されていますが、現在国内で使用されているものはエボナイト製の硬い製品とシリコン製の比較的柔らかいウォーレスリングの2種類です。
ペッサリーは異物なので腟内に挿入することで、必ず腟壁に炎症が起こります。帯下が増え、腟壁の炎症が続けばびらんが生じます。エボナイト製のリングは腟壁の中に埋まり込むことがあり、そうなれば切断して取り出す必要があります。
ペッサリーリングを治療に使用する場合、朝起床後自分で挿入し、夜就寝前に取り出す、自己着脱という使用法を会得すれば、より安全で有効な治療法と言えます。
自己脱着は決して難しくないので、女性クリニックや婦人科に指導してもらえるか問い合わせてみると良いでしょう。私が外来診察をしている梅田ガーデンシティ女性クリニックでは丁寧に指導しているが、ほとんどの方が会得されて帰られます。

2) サポート下着、フェミクッション
フェミクッションはガードル型の下着にシリコン製の楕円形のクッションを装着し脱出しないように臓器を支えるようになっています。
自分で脱出した臓器を還納できることが条件になりますが、適切な使用により、QOLは著明に改善し、骨盤臓器脱の進行を遅らせることも可能です。
フェミクッションの詳細については稿をあらためて解説します。

Posted by 2011/05/04

みなさん、はじめまして!

4月から新しく赴任することになりました岡本と申します。

日々勉強しなければならないことが山積ですが、周囲の方の温かい助けのもと、毎日楽しく仕事をしています!

本日はブログ初投稿なので、自己紹介を兼ねて書かせて頂きます。

こちらに来る前は、2年間神戸で勤務していました。

写真は神戸の北野の写真です。 坂は多めですが、海と山が近く、自然に街が絶妙にマッチした素敵なところです。 

 

北野のスタ-バックスはこんな感じで、すっかり周囲の雰囲気に溶け込んでいます。(ちなみに街中のスタバは通常仕様ですので悪しからず!)

私の神戸のイメージはまさにジブリの「魔女の宅急便」とそのテーマソングの松任谷由美さんの「やさしさに包まれたなら」です。

こんなゆっくりした雰囲気で過ごしていたので、大都会大阪で時間と人の流れに少々とまどっていますが、ちょっとずつ慣れていけたらなーと只今都会生活訓練中です。

みなさん、どうぞ宜しくお願いいたします。 ではでは、また次回。

文責:岡本

                                                                                                      

Posted by 2011/04/27

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